県境の橋の“破滅的な渋滞”緩和せず 「三郷流山橋有料道路」開通1年 むしろ悪化も!? 利用促進の秘策「IKEA割引」
交通量は「計画の半分以下」
埼玉県と千葉県は2024年12月24日、県境の江戸川に整備した「三郷流山橋有料道路」について、開通から約1年後の整備効果を揃って発表しました。 【おいマジかよ…】これが「三郷流山橋」1年間の“整備効果”です(地図/画像) 三郷流山橋有料道路は2023年11月26日に開通。流山市と埼玉県三郷市を結ぶ江戸川の新たな橋で、有料道路事業を導入して5年の短期間で建設しました。通行料金は普通車で150円です。 整備を急いだのは、2.5km下流に架かる一般道の「流山橋」で発生している猛烈な渋滞を緩和するためです。その渋滞は、場合によっては「渡るのに1時間かかる」ともいわれるほど。 三郷流山橋は千葉県側でつくばエクスプレス(TX)沿いの一般道「都市軸道路」に直結していますが、流山・三郷の既存市街地からは辺鄙な場所と言わざるを得ません。TXエリアと外環道方面を直接的に結ぶ新たな東西軸になる計画ですが、埼玉側は外環道にはつながらず、千葉側の都市軸道路も暫定2車線区間が残っています。 このためか交通量は、1日約1万2700台の計画に対し、大幅に伸び悩んでいます。 2024年12月1日(日)の通行台数は4514台、これが平日の12月3日(火)になると3790台。ちなみに11月の平均は1日4251台だったそうです。 今回、千葉側・埼玉側とで、流山橋前後の渋滞状況の変化も明らかにされていますが、むしろ「悪化」したケースもあるようです。
渋滞長が一部伸びてる…?
流山橋前後の渋滞状況の変化は次の通り。 【千葉側】流山八丁目交差点(橋の東側)を先頭に ●野田方面の最大渋滞長 ・平日 開通前780m→開通後120m ・休日 開通前290m→開通後410m ●南流山駅方面の最大渋滞長 ・平日 開通前380m→開通後130m ・休日 開通前500m→開通後190m ●松戸方面の最大渋滞長 ・平日 開通前280m→開通後200m ・休日 開通前350m→開通後70m 【埼玉側】 ●三郷駅北口交差点(橋の西側)の最大渋滞長 ・平日 埼玉県←千葉県夕方の通勤時間帯/開通前1500m→開通後1130m ・休日 埼玉県←千葉県夕方の通勤時間帯/開通前1150m→開通後1230m ●三郷三丁目交差点(上の交差点の西隣)の最大渋滞長 ・平日 埼玉県→千葉県朝の通勤時間帯/開通前600m→開通後120m ・休日 埼玉県→千葉県夕方の通勤時間帯/開通前320m→開通後50m ※開通前調査は2020年8月、開通後調査は2024年12月。 このように、平日は一定の渋滞緩和効果が認められつつも、休日はむしろ開通前よりも渋滞長が伸びているケースがあることも分かりました。 一方で、新三郷駅付近と、流山おおたかの森駅付近を移動する場合、三郷流山橋有料道路を経由すれば、流山経由より「最大38分短縮できる」とアピールしています。 両県は利用促進の一環として、「IKEA新三郷」にて家具雑貨を2000円以上購入した場合、通行券等をレジで提示すると500円割引するキャンペーンも行っています(2025年8月末日まで)。 なお、三郷流山有料道路は「ETC GO」という簡易的なETCシステムを導入していますが、対応するカードは現時点でもダイナーズクラブとイオンETC専用カードのみで、多くの人がETCを使えない状況です。
乗りものニュース編集部