福島県双葉町発、ふんわり新糸 浅野撚糸 技術力・復興アピール 27日バスタオル発売
福島県双葉町に事業所を構える浅野撚糸(本社・岐阜県)は、新たな撚糸技法で、従来の糸より柔らかな風合いを誇る「超無撚糸」の開発に成功した。27日に超無撚糸を使ったバスタオルを発売する。優れた吸水性は維持し、これまでの半分の大きさに仕上げた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興を進める双葉町で開発した製品を発信し、技術力や復興をアピールするとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みを推進する。 26日、双葉事業所で発表会が開かれ、浅野雅己社長が概要を説明した。同社が特許を取得した撚糸「スーパーゼロ」よりも、糸をねじり合わせる強さを5~7割程度弱め、柔らかな肌触りを実現した。空気を多く含ませているため、吸水性はそのままにした。綿と水溶性の糸をより合わせる過程で、スチーム(水蒸気)を当てて水溶性の糸のみを溶かし、綿に染みこませて耐久性も高めた。 2007(平成19)年から開発に着手し、試行錯誤を繰り返してきた。昨年4月に双葉事業所が開所し、糸をより合わせる強さや水蒸気の当て方を調整できる特殊な機械を導入し、完成のめどが立った。
超無撚糸のタオルは「わたのはな」と名付け、糸の長さなどが違う6種類を販売する。双葉事業所で製造した超無撚糸をベトナムに輸出して製品化する。従来のタオルより大きさを半分にしているため、材料が少なく環境にも優しい。 県内では双葉事業所と、福島市のコラッセふくしまにある県観光物産館で取り扱う。発売初日の27日から9月30日まで、半額で売り出す。今後、海外展開も視野に入れている。 発表会で浅野社長は「双葉の地でしかできない開発ができた。超無撚糸を世界に広く発信していきたい」と誓った。伊沢史朗町長が立ち会った。