花園の仏の舞20年ぶりに奉納、金色の面つけ笛に合わせ…和歌山・かつらぎ町の遍照寺
和歌山県かつらぎ町の遍照寺で17日、仏教の教えを表現した国選択無形民俗文化財「花園の仏の舞」が20年ぶりに奉納された。めったに披露されないことから「幻の舞」とも称される伝統芸能を見ようと、100人以上が詰めかけた。
幼い龍女を成仏させようと、僧の姿になった 文殊菩薩(もんじゅぼさつ)が竜宮を訪ねる場面から始まった。僧は仏たちの舞を通じて浄土の素晴らしさを伝え、父の龍王らを納得させた。舞台上で金色の面をつけた仏たちが笛の音に合わせて舞うと、客席から拍手がわいた。
男性だけではなく、女性も悟って仏になれるという「女人成仏」を説いた法華経の教えが題材だ。かつては数十年に1度の旧暦「 閏(うるう)10月」だけに披露された。1984年以降は継承のため、地元の「花園郷土古典芸能保存会」が20年に1度公開している。
保存会の浦中隆男会長(71)は「無事に奉納できてほっとした。人口減少と高齢化が進み、今後の継承が課題。20年といわず、5年や10年ごとに公開することも検討したい」と話した。
近くの住民(76)は小学生の頃に見たことがあるといい、「昔を思い出して懐かしくなった。舞がきれいでとてもよかった」と笑顔だった。