これぞ「パワハラ会議」…漫画に登場する「悪のカリスマが見せた理不尽さ」
■全裸の初登場が衝撃的…『北斗の拳』シン
「力こそが正義」という信念で知られる『北斗の拳』のシン。整った顔立ちとユリアへの執着心が強い印象を残した、ケンシロウの前に立ちはだかる宿敵の一人だ。そんなシンによるパワハラの犠牲になったのは、彼が率いる「KING」に所属する手下たちだった。 シンはケンシロウを倒すため、手下たちを使って様々な攻撃を仕掛けていた。しかし、ケンシロウの強さを前に逃げ出した一部の手下がシンに報告をする際、彼はいろいろな意味で信じがたい行動に出る。 シンは全裸で美女二人の腰を抱きながら、手下二人の話を聞く。この時点で衝撃だが、彼のトンデモ行動はそれだけでは済まない。逃げてきたという手下の前に全裸+マント姿で立ったかと思うと、「た…たすけて」と懇願する手下を無表情に見下ろすのだ。圧が半端ではない。 その後何のためらいもなく、しかも冷酷な笑みを浮かべて手下の胸を貫いたシン。血で汚れた両手は先ほどの美女に当然のように拭かせており、こうしたおこないが日常茶飯事であることがうかがえる。 彼はこの衝撃的過ぎる初登場で読者に強烈な印象を残してしまった。今ではジャギに唆され、純粋ゆえに暴走した哀しく健気なキャラと認識されるようになっているが、それだけに初登場時、こんなぶっ飛んだことをしていたのには驚かされてしまう。
■残虐な言動にドン引きした『HUNTER×HUNTER』ゲンスルー
最後に紹介するのは『HUNTER×HUNTER』のゲンスルーだ。ゲームをモチーフにした「グリードアイランド編」では、プレイヤー同士が手を組んでおり、数あるチームの中で後に一大勢力となったのが「ハメ組」である。そのメンバーであるゲンスルーには、プレイヤーを殺して回る危険な存在・爆弾魔「ボマー」という裏の顔があった。 ゲンスルーが本性を見せるのは、ゲームクリア目前の全体会議でのことだ。長年の努力がようやく結ばれ、お互いを労い合うメンバーたち……。そんな和気あいあいとした雰囲気の中ゲンスルーは、突然「オレは『爆弾魔(ボマー)』だ」と衝撃発言をしてみせる。 突然の告白を受け入れられず、ざわめく一同。仲間の中にとんでもなく危険な人物がいると突然発覚したのだから、当然の反応である。 しかし状況を落ち着いて整理する間もなく、ゲンスルーは皆の前で自分を攻撃してきた仲間のひとりの顔を吹き飛ばし、恐怖を植え付けることで戦意を喪失させ、周りを自分のペースに巻き込んだ。その後、自身の能力を説明し、それを発動条件にメンバーの体に仕掛けた爆弾が起動し始める。 こうした心理戦に長けているのが、ゲンスルーという男だ。彼の思惑通り、メンバーが徐々に言いなりになっていく様子も恐ろしい。 その後、彼は本当の仲間2人とともに行動し、傍若無人な態度は加速していく。集めたカードを脅し取り、素直に出さない場合には暴力をふるう。交渉中に駆け引きをしようとしたプーハットの首を吹っ飛ばし、ビニール袋に入れて仲間たちに渡す残虐性には鳥肌が立ってしまった。 おまけに相手が言われた通りにしたとしても、爆弾を作動させて「解放してやったぜ… くくくくく 恐怖からな」などと言い出すのだから、もうどうしようもない……。 悪のカリスマ性を持つキャラは、いつの時代も読者を惹きつける。とはいえその言動があまりにも理不尽すぎると、見ているこちらとしてもドン引きしてしまうものだ。しかし、そうやって部下を恐怖で支配することもまた、悪役に欠かせない素質のひとつなのかもしれない……。
スパロウ