高さ41mガントリークレーン解体、撤去 「製造業の街」呉のシンボル
広島県呉市宝町のJR呉駅近くにある三菱重工業呉第一工場のガントリークレーンの解体が進んでいる。鮮やかな青で巨大な構造物は、見る者に呉が「製造業の街」であることを印象付け、市民にも親しまれてきた。すでに姿はなくなり、29日に完全に撤去される予定という。 【写真】解体されるガントリークレーン クレーンの高さは41・5メートルで、300トンまでつり上げることができる。1993年に設置され、発電所向けのボイラーなどの大型モジュールの組み立てに使われてきた。 2月中旬に解体用クレーンで解体、撤去を開始。現在はほぼ解体された状態だ。工場に勤めた経験のある港了子さん(68)は「ついになくなってしまった。さみしい」と話した。 同工場は59年、日立製作所呉分工場として誕生。その後、バブコック日立や三菱日立パワーシステムズ、三菱パワー、三菱重工業と変遷した。大型ボイラーを主力に火力発電設備を手がけたが、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い火力発電所の新設が減る中、昨年1月末にボイラー製造を終了した。 これに伴い、同社は不要になった設備の処分などを進めている。配管が臓器のように入り組んだ外観が特徴的だった燃焼試験設備の解体も今月8日に完了した。 現在は第二工場(昭和町)を含め、稼働していない部分が多いとみられる。同社は今後の活用などについて「検討中で未定」としている。
中国新聞