J2落ち回避へ…真価が問われる22歳SB 日本代表トップ選手の“高レベル”を体感「生かさないと」【コラム】
待ち受ける残り4戦は、福岡、新潟、神戸、札幌と難敵ばかり
浦和戦では一瞬の綻びが敗戦につながったが、同じミスを繰り返すわけにはいかない。柏に残されたのは4試合で、堅守のアビスパ福岡、ルヴァンカップ決勝進出のアルビレックス新潟、昨季王者のヴィッセル神戸、同じく残留争いに渦中にいる札幌と難敵ばかりだ。 「どこが相手でも自分たちは勝たないといけない。相手は気にせず、自分たちがいかに点を取るかだと思いますし、とにかくそこにこだわってやっていければと考えています」と関根は手堅い守りはもちろんのこと、より積極的に攻撃に絡んでいく構えだ。 浦和戦でも後半途中からは高い位置を取り、縦関係を形成した山田雄士と絡みながらサイドを崩し、クロスを入れようという意欲を前面に押し出した。しかし、この日はどれもFWと合わず、1点が遠かった。そのあたりは連係面の問題もあるが、彼自身の推進力や個の局面打開力による部分も大きい。それをもっともっと前面に押し出し、「ゴールに直結する仕事のできる右サイドバック(SB)」へ変貌を遂げていくことが重要なのだ。 それが日本代表定着のポイントでもある。関根がサバイバル競争に挑んでいる右ウイングバック(WB)は伊東純也、堂安律(フライブルク)と森保ジャパンの看板アタッカーが陣取っている。4バックをベースにしていた時はレギュラーだった菅原由勢(サウサンプトン)でさえ、最終予選突入後は出番が遠のいているのだから、いかに狭き門なのかよく分かるだろう。 関根は3バックの右や中央でもプレー可能だが、そういった万能性や多様性含め、柏で磨いていくしかない。万が一、J2に落ちてしまったら、A代表に呼ばれる可能性も一気に下がってしまう。彼自身の近未来のキャリアのためにも、ここは何としても踏みとどまるしかない。 果たして関根は窮地に瀕する柏を救えるのか…。今こそ、22歳SBの真価が問われる時である。 [著者プロフィール] 元川悦子(もとかわ・えつこ)/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。
元川悦子 / Etsuko Motokawa