阿部慎之助監督「なんか不思議」今季マツダ6戦0勝
◆JERA セ・リーグ 広島9―3巨人(19日・マツダスタジアム) 巨人が広島に3連敗し、今季2度目の同一カード3連敗で3位に転落した。初回、坂本勇人内野手(35)の福本豊に並ぶ歴代2位タイとなる通算449本目の二塁打などで3点を先制したが、先発の高橋礼投手(28)が末包に1号逆転3ランを浴びるなど1回4失点で降板。その後は救援陣が打ち込まれ突き放された。マツダでは今季4敗2分けと、鬼門突破はならなかった。阿部慎之助監督は試合後には高橋礼、秋広、佐々木、山瀬の4人の降格を決めた。 つかみかけた試合の流れを自ら手放した。初回に3点を先制した直後、先発の高橋礼が1番・秋山に対してストライクが入らない。初球から4球連続ボールでストレートの四球となり、敵地のカープファンがざわついた。「あの4球が全てだった。3点取った後に。あれで相手もあれっ、いけるんじゃないのと思ったはずなので」と阿部監督。小園の適時打、末包の逆転3ランで一挙4失点した。 2回の攻撃で高橋礼に代打を送り、1回33球3安打1四球4失点で交代を告げた。「あのフォアボールが全て。あれがヒットだったらどうでもいいんだけど。それぐらい大きいフォアボールだった」。週1回の登板の先発投手には責任があるとして、継投しそうな場面でも我慢強く続投させることが多かったが、キャンプから掲げる「困ったらど真ん中」の精神を実践できなかった投球に、初回交代を決断。試合後、「一回、抹消します」と高橋礼の登録抹消を決めた。さらに秋広、佐々木、山瀬の2軍降格と郡、喜多、馬場を昇格させる入れ替えを決断した。 敵地で一度、相手に傾いた流れを取り戻すのは容易ではない。その後、救援陣も勢いを食い止められず計9失点。4回無死一塁の守備では、井上が末包を遊ゴロに打ち取ったと思われた打球がイレギュラーして中前に抜け、併殺コースから一転して一、三塁のピンチに。その後、2点を追加された。「何でかな、ゲッツーになりそうなのがカーンっと跳ねたり。なんか不思議だなと思いながら見ていて。いつからこんなになったんだろうと思って」と阿部監督もマツダの“魔物”の怖さを実感した。 打線も2回以降は立ち直った先発・アドゥワと救援陣を攻略できず、得点は初回のみ。計6安打で、今季2度目の同一カード3連戦3連敗を喫した。昨年3勝9敗と苦戦したマツダスタジアムで今季も4敗2分けと白星なし。鬼門打破のためには、独特の雰囲気の中で相手に主導権を握らせず、試合の流れをつかむことがポイントになるだろう。 阿部監督も「何とかしようと思ってみんな、やってるんだけどね。打開策は一個まず勝つしかない。次(マツダでは)7月にあるし、その前にも東京ドームで。東京ドームで負けなきゃいい。それだけ」と切り替えを強調した。目指すのはマツダの壁を打ち破って敵地で勝てるような強いチーム。今後に向けて宿題が残った。(片岡 優帆) ◆遅球武器にせよ 高橋礼が相手にスキを見せたことで、その後の展開が半ば見えた。先頭打者にストライクが1球も入らないようでは…。チームが初回に3点を先行された時、打者はその裏、どんな考えで打席に立つ? 早打ちはしないだろう。まず出塁することを考えて、じっくりと好球を待つのが普通だ。それが分かっていたら、どんどんストライクを先行させていくべきだった。高橋礼はスピードも若干出てきているが、それが打者にはちょうど打ち頃の速さになっている。“速球”ではなく“遅球”を武器にすればいいのに。(スポーツ報知評論家・堀内 恒夫)
報知新聞社