14歳の天才音楽家、ツォトネ・ゼジニゼが初来日公演「ピアノ、作曲、指揮すべてやりたい」
世界の巨匠、ダニエル・バレンボイムに「21世紀のモーツァルトはジョージアから来た」と称されたジョージアの作曲家、ピアニストのツォトネ・ゼジニゼが初来日公演を行った。2009年生まれの14歳だが、9歳でリサイタルを開き、今夏はスイスのヴェルビエ、ルツェルン音楽祭に出演する。作曲の依頼は引きも切らない。ピアノは祖母から教わり、作曲は独学。「ピアノ、作曲、指揮すべてをやりたいのです」と話す。 ■祖母にピアノ教わり 日本にはいない才能の持ち主だ。ジョージアの作曲家、ニコ・スルハニシヴィリとピアニスト、アナスターシャ・ヴィルサラーゼの直系に当たる。母は5歳のときに亡くなり、ピアノはモスクワ音楽院で博士号を取得、ジョージアの首都トビリシ音楽院教授を務める祖母、ニノ・マムラツさん(72)に5歳から教わり、音楽学校には通っていない。父親から教育を受け、5歳で作曲をしたモーツァルトを思わせる。 マムラツさんは「ツォトネの才能はすぐに分かりました。理解が早くどんどん先に進んでいくのです。6歳で作曲を始めました。私はモスクワ音楽院で学び、子供たちの特別音楽学校でも教えましたから、音楽教育のシステムは知っています。システムの鋳型にはめ込むのは良くないと分かっていました」と話す。ツォトネは「ピアノはおばあさんに教えてもらっているので何の問題もありません。作曲は一人で自由にできるのがいいのです」という。 ■世界に伝わった才能 7歳のときにはワーグナーのオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を聴き、ピアノで編曲をした。ショスタコーヴィチのオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」を聴いたのもこのころという早熟ぶり。9歳で開いた初リサイタルのプログラムは、ベルク、ヤナーチェク、バルトーク、ショスタコーヴィチ、リゲティ、そして自作という演奏至難な現代音楽ばかり。自作はドイツの作曲家シュトックハウゼンにささげている。自分で決めたプログラムだ。「知らないうちにコンテンポラリーの曲は僕のものだと感じたのです」とツォトネ。祖母は「シェーンベルクの作品は5日間あれば暗譜して自分のものにしてしまいます」と話す。 しかも、驚くことに楽譜を読むのは好きだが、ピアノの練習は1日に2時間しかしないのだという。