『くる恋』瀬戸康史の大人のカッコよさに痺れる SNS上で浮上した“朝日がストーカー説”
人生において、辛い経験や悲しい思い出は誰にでもあるものだ。時には、そうした記憶を意図的に「忘れる」ことで、一時的に心の痛みを和らげることができるかもしれない。しかし、その記憶が他者にとって大切なものであれば、「忘れる」ことはその人との関係性において、溝を生んでしまう可能性がある。火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系)第7話では、この「忘れる」ことの重みが丁寧に描かれていた。 【写真】花を選ぶ公太郎(瀬戸康史) まこと(生見愛瑠)と杏璃(ともさかりえ)は、お客様から特別なリングケースを探しているというオーダーを受ける。しかし、なかなか良いアイデアが浮かばず頭を悩ませていた。そこで、まことは花を使って何かユニークなデザインができないかと考え、花屋の公太郎(瀬戸康史)の元へ相談に行くことにした。花屋だからというのが大きな理由とはいえ、すでに誠に中で、困りごとがあると公太郎の元へ足を運ぶほどの信頼関係が出来上がっているようにも見える。 数日後。偶然にも、公太郎が杏璃の弟の聡(浜中文一)と幼なじみであったことが判明する。だが、2人は過去にバイクが転倒する事故がきっかけで疎遠になってしまっており、公太郎の身体には痛々しい傷跡が残ってしまっていた。事故が起こった日、プロのバスケットボール選手になる夢を目前にしていた公太郎を乗せて運転していたのが、他ならぬ聡だったのだ。 公太郎と聡の間に起きた出来事を知ったまことは、2人の関係を修復してほしいと強く願い、その想いを公太郎に伝える。しかし、大切な人を忘れてしまう悲しさを理解するまことと、忘れたくても忘れられない辛さを抱える公太郎は、感情的になり口論になってしまった。公太郎は罪悪感をかかえる聡から距離をとるために彼から離れたのだった。「事故の後あいつがどんなだったか知らないだろ? 前に進むために忘れたんだ」という公太郎の言葉が、切なく響く。 これまでも危機的な状況でまことを助けてきた公太郎だが、彼は男性3人の中で、ヒーローポジションにいる半面でどこかクールな印象も抱かせる人物だった。だからこそ、今回のエピソードは、公太郎のより個人的な一面が垣間見えた回になったのではないか。肩の傷を桜色だといったまことによって勇気づけられた公太郎は、彼女との距離も一気に縮まったように見える。 最終的には、自分の内面と向き合い、聡の元に結婚の祝福を伝えに行った公太郎。「結婚式で友達のブーケを作れるようになったなんて、夢が叶ったようなもんだから」と言い切る大人のカッコよさに痺れる。聡は長年罪悪感を感じていたが、公太郎は「お前との思い出は死ぬほどあるから」と励まし、そのまま聡の結婚式に出席することに。式での幸せそうな聡と公太郎の友情に胸が熱くなるのを感じた。 ちなみに、聡を演じた浜中文一は、TBSドラマへの出演は『初めて恋をした日に読む話』(2019年)以来、約5年ぶりとなる。浜中はこれまで数々の舞台やミュージカルで主演を務め、今年からフリーの俳優として新たな一歩を踏み出した。本作は、フリーとなって初めての地上波ドラマ出演であり、さっぱりとした良い友人役として公太郎の親友・聡を好演した。 また第7話では、まことのストーカー問題について、視聴者の間で様々な考察が飛び交った。その発端となったのは、まことが取り戻した記憶だった。ストーカーに追われていたまことが公太郎の店に駆け込んでいたという描写から、公太郎はストーカーではないと推測できる(断定はできないが)。そうなると、律(宮世琉弥)か朝日(神尾楓珠)がストーカーの有力候補として浮上してくるのだ。また、まことが「ねえ、私たちってあの日が初対面だよね?」と律に確認する場面での律の反応からも、2人が初対面ではなさそうな雰囲気が伝わってくる。 一方、朝日は律の元を訪ねていた。公太郎から、律がまことと以前から知り合いだったことを聞いていた朝日は、律が嘘をついていると問い詰める。しかし律は「朝日なんて名前一度も聞いたことない」と言い、「ただのいい人に負ける気しないんで」と挑発的な態度で朝日に応じる。だが、律がストーカーだと決めつけるには少々早そうだ。 朝日の「あのさ、俺全然いい人じゃないから」というセリフにも、何か“訳アリ”な雰囲気が漂っていた。このやり取りを受けて、SNS上では朝日がストーカーなのではないかという説も浮上している。「本当にいい人だよね」とまことに言われたばかりの朝日にとって、律の言葉はなんらかのスイッチを押してしまったようだ。 次回は朝日が想いを伝えるようだが、3人からそれぞれ矢印を向けられているまことは、指輪職人の間で語り継がれるジンクス「お客さんの指輪をたくさん作ると、自分の指輪はなかなかはめられない」を破ることができるのだろうか。実はまことの運命の人は、なんらかの事情で偽りの仮面を被って、近くにいるのかもしれない。
すなくじら