「ぼっち・ざ・ろっく!」の青山吉能が挑戦してみたい楽器とは?「初めて見た時に『なにこれ!?』と衝撃を受けました」
「まんがタイムきらら MAX」にて連載されているはまじあきによる同名4コマ漫画を原作として、2022年に放送され人気を集めたTVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」。TVシリーズを再編集した「劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:/Re:Re:」の前編が6月7日、後編が8月9日に公開される。 【写真を見る】「ぼっち・ざ・ろっく!」後藤ひとり役の青山吉能 本作は極度の人見知りで陰キャな少女・後藤ひとりが結束バンドに加入し、伊地知虹夏、山田リョウ、喜多郁代といった個性的なメンバーとともに成長していく物語。2022年にTVアニメの放送がスタートすると、瞬く間に人気を集め、国内外問わず絶大な支持を獲得。新たな音楽アニメとしての地位を築いた。 今回は後藤ひとり役の青山吉能にインタビューを行い、劇場総集編が決まった時の心境や作品に対する反響、今後挑戦してみたい楽器などについて語ってもらった。 ――劇場総集編が公開されるというお話はどのタイミングで聞かれたのでしょうか? 「確か『ぼっち・ざ・ろっく!』の生放送特番が終わった後にスタッフさんから言われました。あまりにもあっさりだったので『やったー!』みたいな気持ちになれなくて...でも心の中ではすごく嬉しかったです」 ――そんなにあっさりと報告されたんですね。 「そうなんですよ(笑)。『みなさんにお知らせがあります』みたいな感じではなくて、別の話の流れの中で聞かされて、『え、ちょっと待って!』と驚いたのを覚えています」 ――本作はアニメシリーズを再構成しているとのことですが、どのような作品になっていますか? 「新しい『ぼっち・ざ・ろっく!』と言うとまたちょっと語弊がありそうなんですけど、アニメ全12話をまた新しい形で楽しめるんじゃないかなと思います。総集編と聞くとただアニメを劇場用にギュッとしているように思えるんですけど、まったく違います。アニメの第1話の冒頭は後藤ひとりの回想から始まると思うんですけど、総集編は意外なシーンから始まるんですよ。私も初めて見た時はびっくりしたので、楽しみにしていてください。どのシーンから始まるのか、きっと誰も当てられないんじゃないかな...(笑)」 ――アニメをすでに見ている方はもちろん、これまで一度も見たことない方でも楽しめますか? 「そう思います。これまでの『ぼっち・ざ・ろっく!』を知っている方はもちろんなんですけど、知らない方も『何が始まったんだ?』ってなると思いますし、確実に楽しいものになっていると思います」 ――アニメが放送されてから幅広いファンの方からの反応が集まっていますが、作品に対する反響についてどのように感じていますか? 「声優としてどの現場行っても、やっぱり『ぼっち・ざ・ろっく!』の話になりますし、『ぼっち・ざ・ろっく!』というタイトルを知らない人がもうこの業界にいないんじゃないかというくらい広がっているな、と実感しています。毎クールいろんなアニメが放送されているのに、放送から2年が経っても作品を知っていただけるのは当たり前のことではないですし、本当にありがたいですね」 ――青山さんは後藤ひとりについて、「陰キャラとして役作りを意識しなかった」とお話されていましたが、役と向き合っていく中で後藤ひとりに対しての向き合い方は変わりましたか? 「全12話を通して最も成長したのは、後藤ひとりだなと思っていて。ひとりは、『はい』という言葉だけで100種類あるくらいたくさん返事をするんですけど、それが虹夏ちゃんに返事をする1話の『はい』と12話の『はい』ではまったく違うんですよ。1話の時の虹夏ちゃんは得体の知れない黄色い髪の生き物だったのが、12話になったら同じバンドメンバーの虹夏ちゃんになっているので、声のトーンも温度感も変わっていて。その変化に合わせて自然と自分も変わっていっていったというか。回を重ねるごとに徐々に成長していこうというよりも、自然とそうなっていきました。全12話通して熱いものをずっと自分の中で持ちながらやっていたので、結果的に成長したなという感じで、自分が意識してそこをやったかって言われると、特別な意識はしていませんでしたね」 ――後藤ひとりだけではなく、青山さん自身も自然と一緒に成長したというか。 「そうですね。本当に作品に成長させてもらいました」 ――後藤ひとりはインストームスに惹かれてギターを始めたという経緯がありますが、青山さんが影響を受けた音楽はありますか? 「私はアニソンとボカロに人生を捧げてきました。アニソンやボカロとJロックとの大きな違いは閉塞感だと思っていて。ボカロって狭い世界で、狭いところに受ければいいや、という"村"の感じが私にはすごく性に合っていて、Jロックのような、大きな夢や希望、実現したい目標みたいなものを掲げられても全然共感できなかったんです。それよりも、自分はあの子に悪口言われた、みたいな小さいことを歌ってる曲の方が、青春コンプレックスが刺激されていました。学生時代はそういう悪魔みたいな曲ばかり聴いていたんですけど、大人になって『青春!夏!最高!』みたいな曲も聴くようになって、人って変わるんだなと思ったりしていて(笑)。それこそ『ぼっち・ざ・ろっく!』にもいろんな曲があると思うんですけど、後藤ひとりが作詞している分、歌詞の方向性はどれも陰鬱とした雰囲気みたいなものがあるんです。でも、人って些細なきっかけで変わっていくので、これからの結束バンドの音楽もどんどん変わっていっていいんだと思えるようになりました」 ――ちなみに青山さんは企画でギターにも挑戦されていましたが、これから挑戦してみたい楽器って何かありますか? 「やってみたい楽器か...。実はテルミンをやってみたいんですよ。一見するとただ人間が空中をさすっているだけなのに、音が鳴るんです。初めて見た時に『何これ!?』と衝撃を受けて。日本にはテルミン奏者はあんまりいないらしいんですよ。だからこれは私が『テルミンヒーローへの道』をやるしかないと思っています(笑)」 ――「ギターヒーローへの道」ならぬ「テルミンヒーローへの道」ですね。最後にメッセージをお願いします。 「音楽の面だけに絞ったらそれだけで1時間喋れるし、キャラクターの魅力だけでも1時間喋れるっていうくらい『ぼっち・ざ・ろっく!』にはおすすめポイントがたくさんあるんですけど、やっぱりリアリティが魅力だと思っています。バンドあるあるではないですけど、昔に音楽をかじってた、バンドをやっていたという方はもちろん、私みたいに何も知らなくても、ぼっちちゃんに感情移入できたり、ライブシーンを楽しんだりしていただけるんじゃないかな。『ぼっち・ざ・ろっく!』を見て共感できる部分というのが必ず1つはあるので、全世界の人に一度見ていただきたいです。そして、どこに感銘を受けたか、どこに共感を覚えたかというのも教えてほしいなって。自分はぼっちちゃんを演じているからぼっちちゃんに傾倒してしまいますけど、他の方は虹夏ちゃんのこの気持ちわかるとか、ライブハウスってこうだよねみたいな話もきっとあると思うんです。アニメの放送が終わって作品の話をする場が減ってしまったんですけど、劇場総集編を機に、改めて『ぼっち・ざ・ろっく!』の素晴らしさをみなさんと一緒に語り合いたいですね」 取材・文=川崎龍也
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