パッキャオ大番狂わせは全米メディアが報じる「議論を呼ぶ判定」だったのか
フレディ・ローチは試合後、正直に、「我々は、トレーニング・キャンプで十分な時間がなかった。最初は調子が悪く、スパーリングは悪かった。パッキャオはラウンドのいくつかをうまく戦ったが、私が求めたスタイルを終始貫くことはできなかった」とも語った。 パッキャオが、1ラウンドの中で、数発だけヒットさせた右フックか左ストレートの有効打を支持するのか、それとも、ロープを背負わせコンビネーションブローを浴びせたホーンの攻勢点を評価するのか。見方が分かれるラウンドがいくつかあったが、ホーンのホームタウンであることなどを加味すれば、そういう灰色のラウンドがホーンに傾いたとしても不思議ではない。 試合の速報レポートでは「疑惑を呼ぶ判定」と報じたESPNも、時間を置いて掲載したコラムでは、「パッキャオのひどい敗北は引退を招く」と、厳しい意見を伝えた。 「パッキャオは本能で戦っていた。でも、それは彼の本当のファンが、もう一度見たいというものではなかった。パックマンが終わる時間だ」 それでもパッキャオが簡単に2度目の引退に踏み切れない環境がある。 この試合はPPVではなく、ESPNで全米で無料で生中継されたが、驚異的な高視聴率をマークしたのだ。「ボクシングシーン・ドットコム」の記事によると、ラスベガス地域は4.0%と最も視聴率が高く、パッキャオ戦のメイン時には5.1%にまで上がった。ESPNの過去のボクシング中継としては過去最高の数字。ESPNのストリーミングの1分毎の平均視聴者は78,000人、ユニークビューワーは、392,000人で合計1440万人を集めた。ちなみにパッキャオが最低保証されたこの試合のファイトマネーは約10億円だったという。 パッキャオが敗れた場合、再戦のできる契約条項があり、パッキャオも、「次はフィリピンでやりたい」と再戦に意欲を見せている。一方、無名ボクサーから一躍、スターダムに上り詰めたホーンは、パッキャオとの再戦を承諾すると同時に、9月に総合格闘技UFCの2階級王者、マクレガーとボクシングマッチを戦うために現役復帰するフロイド・メイウェザーとの対戦を熱望した。 「メイウェザーとボクシングのリアルファイトを戦いたい。杖か、ボクシンググローブか、どっちを持ってくるんだ?」と、挑発的なコメントを残している。