中村倫也「若い頃は自信と絶望の繰り返しだった」いま手放したくないもの
偶然にも、同い年で同じ誕生日で同じ血液型の石原さとみさんと、19年ぶりに映画『ミッシング』(5月17日公開)で共演した中村倫也さん。本作で中村さんは、幼い娘が失踪して3ヵ月が経ち、帰りを待ち続けるも、少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里(石原さとみ)と、夫・豊(青木崇高)を、唯一取材し続ける地元テレビ局の記者・砂田を演じる。 【写真】やさしい眼差しで佇む、中村倫也さんのビジュアルカット 視聴率を獲得するために、世間の関心を煽るような取材を上司から求められ葛藤しながら、沙織里夫婦に密着取材し続けるなかで、誠実さや優しさも持ち合わせていることが感じられた砂田。実生活において、中村さん自身が仕事に取り組む際 、どんなことを意識しているのだろうか。大切にしていることや向き合い方など伺った。
若い頃は、才能ある自分を疑わなかった
――砂田が誠実さを手放せなかったように、中村さんが仕事をする中で手放したくないものは? 「遊び心かな。きっちきちに固められると、ちょっと心寂しい気持ちになりますね。『それ、誰がやってもいいんじゃない、あなた』なんて思っちゃいます。とはいえ雇われている身なのでやりますけどね、まあそこは大人なので(笑)。できる限り“よりよく”やろうと切り替えます。さすがにそういうことで、いちいち落ち込むほど若くないので。 若い頃は一時が万事というか、ひとつひとつに対して『オレ、才能ある』と自分のことを疑わなかったし、それでいて3日後にはもう本当に向いてないと絶望したりの繰り返し。そのバイオリズムが年齢を重ねて、だんだんと穏やかになってくるんでしょうね。僕、デビュー作で何かしらの賞を獲ると信じていましたもん(笑)。箸にも棒にも引っかからなかったですけどね。 今はバカみたいな夢は抱かなくなりました。夢や目標は密かな楽しみみたいなもので、別に誰かに伝えもしないし、結びつけるために動くこともせず、行き着く潮の流れの中で泳いでいって、いつかたどり着けたらいいなと漠然としたもの。宝探しみたいな感覚です」