55歳会社員、年収500万円で「貯蓄2000万円」です。再雇用だと「年収300万円」になりますが、老後の生活は大丈夫ですか? 年金もあるので問題ないでしょうか?
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年 仮に、厚生労働省が発表している夫婦2人分の平均的な年金額である約23万円を受給できる見込みであれば、働ける間は年金受給を繰り下げることで、老後の資金はさらに安定します。 年金は受給開始時期を繰り下げることで、受給額を増やすことができます。 例えば、70歳まで働き、それ以降に年金受給を開始する場合(繰下げ受給)、23万円の年金額は33万円まで増加します。具体的な計算は以下の通りです。 【70歳まで年金受給の開始を繰り下げる場合】 ・65歳の年金受給額を23万円とする ・繰下げ期間は5年間(60ヶ月) 増額率:0.7%×60ヶ月=42% ※繰り下げた月数×0.7%増額される 増額分:23万円×0.42(42%)=9万6600円 増額後受給額:23万円+9万6600円=32万6600円 毎月約33万円が受給できるのであれば、月の収入が支出(約27万円)を上回っているため、いつまで長生きしても安定した生活を送ることができます。 仮に、65歳から年金受給開始まで収入ゼロで貯蓄を取り崩す計画にしても、2000万円貯蓄があるので、数年間であれば充分資金的には余裕があります。生活費と貯蓄のバランスを見ながら、老後にいつまで働くのかを検討してもよいかもしれません。 注意が必要なのは、この計算は前提として支出を27万円としているところです。家計調査年報の結果では、勤労者世帯の支出平均は約44万円でした。現役時代と同じように支出していると、赤字になってしまいます。老後の収入減を見越して現役時代から徐々に支出を減らしていく想定をしておかないと、赤字額が減らない可能性があります。
不測の事態に備えて、余裕のある計画を立てるのがおすすめ
計画では余裕をもって生活できる計算だったとしても、高齢になると医療費が増えたり、場合によっては介護が必要になったりするなど、想定外の支出が生じる可能性もあります。 現役時代に老後の生活を検討しておくことは重要ですが、ぎりぎり大丈夫という計画ではなく、余裕をもった計画を立てることをおすすめします。ご自身だけではこれからの計画を立てるのが難しいという方は、専門家に相談するのもよいかもしれません。 出典 総務省統計局 労働力調査 国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査結果 総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年) 執筆者:御手洗康之 CFP
ファイナンシャルフィールド編集部