元宝塚トップ女優、“終活”への想いを告白「ひとり身なので色々考えちゃいますが…」
“再春”は「今できることをやってみよう」の視点で
――終活と聞くと寂しい感じもしますが、現状を整理しておくと気持ちも前向きになるとよく言いますよね。それに、再春というテーマはとても素敵だなと思いました。 凰稀:そうなんです。歳を取るとどうしてもできないことが出てくるので、できることをやってみようと、違う視点で物事を見ていけたらもっと人生が楽しくなると思うんです。 「あの頃はできていたのに今はできない」という考え方ではなく、「今できるほかのことをやってみよう」とポジティブな方向に持っていってあげるといいと、介護の本にも書いてあって。同時に、そういう周囲のサポートも要るのかなと思うんです。 ――今回の映画のように観て楽しかった、感動したで終わってもいいのですが、人生のヒントになるのもよいですね。 凰稀:そうですね。老いのことは、若いうちにやっておくことが大切だと本で読んだこともあります。早め早めに動くというか、自分もいつかそうなるから、やっておかないといけないことがありますよね。わたしはひとり身なので、どうしようかなといろいろ考えちゃいますが、この映画はわたしにもすごくいいきっかけになったと思います。 調べるといろいろと情報が出てくるので、それを実践してやっていけるんですよね。きっとこれからどんどん事情も変わってくると思うので、介護などの知識を入れておくだけでも全然違うなとは改めて思いました。完ぺきでなくても、ちょっと知っておくだけでも全然違いますよね。
一番伝えたいのは「人生を楽しむこと」
――改めて、映画をご覧になる方にはどのようなことを感じてほしいでしょうか? 凰稀:ポスターにもありますが、笑って泣けて役に立つ、本当にこのままなんですよね。老いは現実的に訪れることでもあるので、やっぱり向き合っていかないといけないけれども、何よりも一番伝えたいことは人生を楽しむことだと思うんです。なので、映画を観るみなさんが、そういうふうになれるきっかけになったらいいなと思います。それにこれを観たら親に連絡したくなると思うので、ぜひとも連絡してあげてください(笑)。 ――ところで来年で芸能活動25周年という節目の年になりますね。 凰稀:25年も続けることはすごいことです(笑)。まさかここまで続くとは思っていなかったので。宝塚を卒業したらお芝居はもうやらないと思っていたのですが、今の事務所の社長と出会って「もったいない」と。これだけ芝居が好きで、できるのであればもったいないと止めてくださって。事務所も作ってくださったんです。今はなんかとかできているので、本当に感謝しています。 ――どうして一度辞めようと思ったのですか? 凰稀:疲れすぎちゃって(苦笑)。とりあえず休みたかったんです。でも、今休んらだダメだと。宝塚のような生活が一生続くと思っていたのですが、いつでも寝られる、今までとは生活が違うからと説得されまして。辞めてすぐの頃は環境の変化で一日だけ知恵熱が出ましたが、それ以降はずっと元気です。 ――今のモチベーションは何ですか? 凰稀:今はファンの方が喜んでもらえるから頑張れています。自分のお芝居を見て、喜んでくれる人がいる。舞台はそれがダイレクトに伝わってくるじゃないですか。毎日、それはすごく思うんです。拍手の大きさで、やっていてよかったなと思います。