低用量ピルは「太る?」「妊娠しづらくなる?」、噂の真偽から副作用、服用制限まで医師が回答
避妊だけでなく、生理痛やPMSなど月経にまつわるつらい症状の改善に効果があるとして、近年、利用者が増えているピル。「生理痛が楽になった」「生理周期が安定した」などの声があがる一方で、「太る」「将来、妊娠しづらくなる」など服用を敬遠してしまうネガティブな噂も。副作用を含め、巷で囁かれているピルのウソ・ホントについて、クリニックフォア監修医で、日本産婦人科学会認定 産婦人科専門医の村田佳菜子先生に教えてもらいました。 【漫画】「ただの生理痛で救急車を呼ぶのは…」気合いで耐えたら病気だった、女性の恐怖 ■世界中で1億人以上の女性が服用する低用量ピル、吐き気などの副作用は? 「一般的にピルと呼ばれている『低用量ピル』は、プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)という2種類の女性ホルモンを合わせた錠剤で、女性ホルモンのバランスを一定に保てることから、避妊だけでなく、PMS(月経前症候群)や生理中の辛い症状を解消・緩和できる薬としても活用されています。世界中で1億人以上の女性が服用しているといわれ、日本でも徐々に認知されてきて、この5~6年で使う人が増えて来た印象があります」(村田佳菜子氏/以下同) ピルにはホルモン量の配合の違いによって、「低用量ピル」「中用量ピル」「超低用量ピル」などがありますが、現在、世界でもっとも多く使用されているのが「低用量ピル」。その名のとおり、含有するホルモン量が少ないため、副作用が比較的少ないことが特徴です。 「飲み始めた初期の頃、吐き気や頭痛の症状が出たという方は時々いらっしゃいますが、基本的には、飲み続けているうちに症状は改善する場合が多いです。症状が続く場合は、服用時間を工夫したり、他の種類に変えるなどしています。そのほかの副作用としては、不正出血が起きる方もいますが、2シート、3シートと続けるうちに落ち着くことが多いです」 ■注意すべきは血栓症、40歳以上、肥満、喫煙者はリスクが上がる ただし、ひとつだけ注意しなければならない大きな副作用があると先生は続けます。 「血液の一部が固まって血管が詰まってしまう、血栓症の発症リスクを増加させることがわかっています。滅多に起こるものではありませんが、命に関わる場合もあるため『喫煙』『高血圧症』『高脂血症』『40歳以上』『肥満』『糖尿病』『心血管疾患』『血栓症の家族歴』など、リスクが高くなる人に対して服用を制限するガイドラインが設けられており、医師の判断のもと適切に処方してもらう必要があります」。 「喫煙」が血栓症の発症リスクを高める要因となるなら、「飲酒」もダメでは? と思うかもしれません。ですが、飲酒そのものは問題とならず、服用禁忌や慎重投与の対象とはなっていません。ただし、「アルコールによって脱水症状になると血栓のリスクが高まる可能性はあります」と先生。お酒を飲むときは、こまめな水分補給によって血流の停滞を防ぐことが必要です。