虎のソナタ 青柳も宮城も大山も森もノイジーもいない… 「2023・11・5」から7カ月後の関西ダービー
(日本生命セ・パ交流戦、オリックス4-0阪神、1回戦、オリックス1勝、11日、京セラ)関西ダービーと呼ばれ始めたのは、交流戦が始まった頃だっただろうか。本拠地を同じ地域とするなどの〝共通項〟を持つチーム同士の対戦を「ダービー」と称して大騒ぎするのは英国が起源。海外サッカーの話題が日常的に報じられるようになって、ダービーは一気に日本中に認知された。 【写真】記念写真におさまる阪神・岡田監督とオリックス・中嶋監督 「昔はプロ野球で『ダービー』なんて言葉、使ったことないですよ。巨人担当時代に、毎年20数試合、ヤクルト戦を取材しましたが、東京ダービーと呼んでいた記者は皆無でしょう。めったに対戦しないからダービーというのは盛り上がるでしょうね」 当番デスク・牧慈が解説してくれた。確かにその通りだ。 昔々、パ・リーグは6球団中、関西を本拠地にしていたのが阪急(西宮球場)、近鉄(藤井寺球場)、南海(大阪球場)の3球団。2分の1だから、かなりの高確率で、ほぼ毎日が「関西ダービー」。珍しさなど全くない。当たり前のように在阪3球場のどこかで関西同士の試合が行われる。虎ソナも「関西ダービー」と書いたことなど一度もなかった。 ただ、ことしの関西ダービーは、違った意味で感慨深い。なんといっても、あの日以来の真剣勝負だから。 「2023・11・5」の試合前の異様な空気は、今も忘れられない。3勝3敗。勝てば日本一。ビンビンと伝わってきた両チームナインの緊迫感。京セラドームを二分していたファンの息遣いも尋常ではなかった。そして、歓喜の胴上げへ…。あれから7カ月余。 あの日に比べると、どこかフワッとしていると感じてしまった。毎度毎度、あんなピリピリムードで戦っていたら、選手はもちろん、トラ番記者も身がもたない。死闘を間近で見て、「こんなに強い両チームは、来年、間違いなく再び頂上決戦をするだろう」と確信したもんだ。 ところが…。あの日先発した青柳はファームで調整中だし、宮城はブルペン投球を再開したばかり。両軍の4番打者は、大山も森も1軍ベンチにいない。殊勲のアーチを放ったノイジーも2軍…。勝負の世界が甘くないことを教えてくれる、今回の関西ダービーだ。 「やっとチーム状態が上向いてきました。FA補強の4番・西川が調子を上げてきましたから。そして、結果的にですが、一番のきっかけは〝入れ替え〟でした。1、2軍のコーチをローテーションしてから勝ち始めているんです」