NHK朝ドラ「ひよっこ」の視聴率低迷がたびたび話題になるのはなぜ?
有村架純をヒロインに放送中のNHK朝の連続テレビ小説「ひよっこ」。「ちゅらさん」「おひさま」などで知られる脚本家・岡田惠和氏のオリジナル作品で、ぜひ有村でドラマをと岡田氏の念願がかなった意欲作でもある。しかしたびたび、視聴率の苦戦が報じられる。実は近年、「ひよっこ」に限らずドラマの面白さとは別に視聴率苦戦が話題にのぼるケースが結構あるという。なぜだ?
タイムシフト視聴率もあるが、やはりリアルタイム視聴率を重視する
「ひよっこ」は4月の放送開始以降、朝ドラの合格ラインといわれる20%台を数回しかクリアできず、いまのところはほとんどの回が20%以下。原因について、ネット上では「前作『べっぴんさん』が終盤苦戦したため、勢いを引き継げなかった」という前作元凶説や、「有村では新鮮味がない」とするヒロイン原因説、「『あさが来た』『とと姉ちゃん』『べっぴんさん』と実在の人物をモチーフにしたドラマが続き、オリジナルへの興味が失せたのでは」との企画原因説などさまざまな意見が飛び交っている。 しかし最近は、ドラマの面白さや完成度とはあまり関係なしに視聴率の苦戦が話題にのぼるケースもある。芸能情報サイトの30代編集者は、他のドラマの例をあげて説明する。 「1月にTBSの火曜22時枠で『逃げ恥』の後番組として鳴り物入りで始まった『カルテット』が、期待を裏切る低視聴率発進となり、結局、『逃げ恥』のようなブームは起こせませんでした。松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平とキャストも強力で、脚本に坂元裕二氏、演出には土井裕泰氏と芸能界屈指のヒットメーカーをそろえた。前評判も高かったのですが、結局、録画して見るタイムシフト視聴が多かった。TBSの火曜22時は、昨年から録画視聴の傾向が強い枠といわれているんです」 実際、ドラマ終了後の3月29日にTBSが定例会見の席上で明らかにした「カルテット」の視聴率の内訳は、リアルタイム8.8%に対してタイムシフトは7.9%とその差は1%を切っていた。さらに、両者を足して重なった部分を引いた総合視聴率は15.8%だった。 また、やはり同局で放送の藤原竜也主演「リバース」も、ドラマ自体は高評価だったにも関わらず低視聴率が話題になってしまった。しかしTVerやTBSオンデマンドの見逃し配信の人気は高かったことがわかっている。 一方で、地上波放送局の40代プロデューサーは語る。 「タイムシフト? 総合? 現場ではリアルタイムしか気にしていませんよ。いつかタイムシフトや総合なんていうのが重視されるようになるのかもしれませんが、いまのところ現場に最重要の情報として届くのはリアルタイム。もしタイムシフトを入れるなら、これまで数字が良いとされていたドラマと悪いとされていたドラマが逆転する可能性もありますよね。たとえばアニメなんかは、めちゃくちゃタイムシフト視聴率が高いですし」 また、民放の場合は、タイムシフト視聴だとCMが飛ばされる可能性があるため、スポンサーもリアルタイム視聴率を重視する傾向は変わらないという。いまはまだ民放放送局側が、総合視聴率の意味合いをCMスポンサーに説明している段階のようだ。 「タイムシフト視聴だとCMを飛ばす視聴者が半分いるという統計があるのですが、逆に考えれば半分はCMも見ているということですからね」(前出・芸能サイト編集者) とはいえリアルタイム視聴で低迷が続けば、低視聴率ということで話題にのぼってしまうのが現状だ。速報性が重んじられる芸能ニュースも、いち早く判明するリアルタイム視聴率で書かれることが多い。