ヘッジファンドからメキシコ料理店に転身、資産290億円-グズマン上場
(ブルームバーグ): スティーブン・マークス氏はオーストラリアに移住した2000年代初め、メキシコ料理の質の低さに衝撃を受けた。同氏に言わせれば、それはひどいものだった。米ニューヨーク州・ロングアイランド出身で、資産家スティーブン・コーエン氏が創業したSACキャピタルやチーイン・キャピタルで経験を積んだマークス氏は、ブリトーやタコスのまずさに閉口し、自分のレストランを始めようと決心した。
マークス氏は19日のインタビューで、「当時、メキシコ料理はマルガリータを飲みながら食べるつまみだった。ある日オフィスに来てビジネスパートナーに、『次の大きなアイデアが浮かんだ。この国にメキシコ料理をあらためて紹介しよう』と言ったことを覚えている」と語った。
実現したのは2006年だった。マークス氏は幼なじみのロバート・ハザン氏と共にシドニー郊外のニュータウンにメキシコをテーマにしたファストフードチェーン、グズマンイーゴメズ(GYG)の1号店をオープンした。それから18年後、GYGはオーストラリアに185店舗、シンガポールに17店舗、日本に5店舗、米国に4店舗を展開。昨年の売上高は7億5900万豪ドル(約800億円)に達した。
GYGは20日、オーストラリア証券取引所に上場。新規株式公開(IPO)規模は3億3510万豪ドルと、豪州でのIPO規模としては約1年ぶりの大きさとなった。ティッカーシンボルは「GYG」で、同社の評価額は22億豪ドル。
ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、マークス氏(52)は投資会社TDMグロース・パートナーズに次ぐ2位株主で、2億7500万豪ドル(約290億円)強のポジションを保有する。
GYGはIPOで得た資金のうち、2億豪ドルを事業拡大に充て、残りを既存株主に配分する予定。豪国内の店舗数は最終的に1000店舗と、マクドナルドと並ぶ水準まで増やしたいと考えており、毎年30-40店舗の新規出店を計画している。