5電力会社が公道整備に関与、資金提供などで支援 用地の無償提供は中電のみ
中国電力が山口県上関町の町道を整備していたことを巡り、中国新聞が全国の大手電力12社にアンケートしたところ、うち5社が東京電力福島第1原発事故後、原発の立地自治体の公道整備に資金の提供などで関与していたことが18日、分かった。用地買収から道路の整備まで直接担い、自治体に用地を無償で提供したのは中電だけだった。 【一覧】電力各社による行動整備への関与 背景には東日本大震災後の原発再稼働の動きに加え、災害や事故時の避難道路などの整備を求める地元の声の高まりがある。ただ大規模な整備は費用も膨大なため、電力会社が自治体の負担分の大半を提供する構図が一部で浮き彫りになった。 公道の整備に「関与したことがある」と答えた5社のうち、中電と同じく道路を直接整備したのは九州電力。川内原発(薩摩川内市)近くで昨年、工事費用約40億円をかけて自ら約3・1キロの迂回(うかい)路を新設した。ただその新道は、原発に隣接する既存の県道と「交換」しており、約2・3キロの旧道は社有地となっている。 道路整備に資金を提供したのは3社。東北電力は女川原発のある宮城県内で、関西電力は3原発を構える福井県内で、それぞれ県などに資金を提供したと答えた。日本原子力発電は関与は認めつつ「詳細について回答は差し控える」とした。ただ、敦賀原発がある福井県敦賀市への取材で、市道西浦1号線の整備にかかった約25億円の全額を市に提供するなどしていたことが判明している。 資金提供は、整備が必要となる原因を生じさせた当事者として払う、道路法上の「負担金」などと位置づける例が目立つ。各社は「負担金は寄付とは異なる」とし、情報開示が求められる「寄付金」の対象に含めていない。九電は、新県道の整備費を「電気事業営業費用」としている。 北海道電力、東京電力、北陸電力、中部電力、四国電力、沖縄電力の6社は「関与していない」と回答。青森県で大間原発を建設中の電源開発は、関与の有無も含めて「個別の事案に関する回答は差し控えたい」としている。2月上旬から3月上旬にかけて、アンケートと追加取材を12社に実施した。
中国新聞社