タミヤ新社長・田宮信央氏 サポートや体験機会充実、顧客拡大へ意欲 7月1日付で就任
7月1日付で、タミヤの新社長に就く。新型コロナウイルス下の在宅時間増加で初心者モデラーが増えたが、巣ごもり需要の反動減や人口減少に伴う国内市場の縮小など、業界の先行きに懸念も残る。訴求力が高いプラモデルやミニ四駆、ラジコン、工具などの製品開発を継続するほか、問い合わせ対応やイベント開催にも注力し、ユーザーの裾野拡大を図る。 -就任の抱負を。 「当社を長年支えてくれているファンや関係者に感謝し、過去と現在と未来をつなぐ役割を果たしたい。模型屋であることに誇りを持っている。品質世界一を胸に、ロゴマークの赤と青の星のように情熱と精密で冷静な判断力を常に持ち合わせるよう心がけていく」 -業界の現状をどう見るか。 「今は誰もが当たり前にスマートフォンを持つ時代。デジタル化が進むことで、リアルな物や体験の価値がかえって高まると考えている。販売後の顧客サービスやイベント開催の重要性も増している。その機会を捉えられれば、業界の可能性は広がる。製品を供給するだけでなく、模型を完成させる達成感をより多くの人と分かち合いたい」 -自社で注力していくことは何か。 「模型を作り続けている人だけでなく、製品に触れたことがない人にも魅力を伝え、誰もが気楽に模型を楽しめる仕掛けを継続していく。多彩なパーツを自由に組み合わせるオリジナルビルドやミニ四駆の工作教室のほか、製品やパッケージ原画、取材写真を美術館で展示する取り組みも続ける」 -業界活性化策は。 「ホビー業界は多様性に富むメーカーが共存共栄することが、ユーザーにとって重要。同業他社は模型ファン拡大を目指す同志。当社は海外60カ国以上に代理店がある。“模型の世界首都”である静岡に、各国からより多くのファンを呼び込みたい。デジタル時代は効率化やスピード感が重視されるが、メリハリも必要だ。一歩立ち止まって豊かな時間を過ごす時、傍らに存在できるような模型を作っていきたい」 たみや・のぶひろ 監査法人や家業の北川木材工業勤務を経て、2020年9月にタミヤ入社。22年7月から現職。京都大卒。静岡市清水区出身。37歳。
静岡新聞社