北海道「鉄道・バス」、利用者無視の公共交通政策 鈴木知事の支離滅裂な姿勢が混乱を招いた?
鈴木直道知事の対応を巡って北海道議会では答弁が用意できないとして2024年2月28日に予定していた北海道議会が開催できず、異例の「延会」となる事態が発生した。北海道議会が「延会」となるのは記録が残る1967年以降、道政史上初の失態だ。 【写真】2019年の「攻めの廃線」以降、放置されている旧夕張駅の現在 ■議会軽視で自民会派と溝 問題となったのは、鈴木知事の北海道の観光振興予算に関する答弁。この答弁を巡り自民会派と事前の調整がつかなかったことが延会の原因だ。発端は、新年度の観光振興予算を巡る動きだった。当初は、「引き続きインバウンドの誘客のための海外への広報活動が必要」として26億円を要望しており道側からも前向きな回答を示されていたというが、実際に道議会の予算審議で提示された金額は14億円と半減されていた。これに対して、道の観光振興予算の大半を執行する北海道観光振興機構は新年度の予算が要求額よりも大幅に削減されたことに対して不満を抱いた。
この後、地元紙が報じたところによると、議会手続き前にもかかわらず鈴木知事は、札幌市内で同機構の小金澤健司会長と面会し、追加予算案などについて説明したという。鈴木知事のこうした行動を知事側の自民会派は問題視。「議会手続き前に特定団体に予算執行を予測させるようなことがあれば、議会軽視で看過できない」と遺憾の意を表明した。 このため、2月28日に予定していた第1回定例道議会では、鈴木知事の観光振興に関する答弁を巡り自民会派と道側の事前の調整がつかなくなったことから議会を開催できない状況となり、異例の「延会」となった。この日、自民会派の安住太伸幹事長は記者団に対し「知事は観光振興に力を入れると言ってきたが、具体的な中身が全く示されていない。知事を支えることが困難になりかねない」と述べている。
翌29日には議会は再開されたが、鈴木知事はこれを受け「外部への追加予算案の説明をしたといった事実はない」と答弁しているが、自民会派の中堅議員は「何も予算の話をしていないなんて誰も信じない」と苦笑した。また、野党側も「審議の根底が崩れることになる」と知事の行動を批判。道議会は荒れ模様となった。 ■鈴木知事の支離滅裂な政策姿勢 鈴木知事は「観光振興に力を入れる」方針を示しているものの、2019年の知事就任前に市長を務めていた夕張市は観光振興とはかけ離れた状況に置かれている。