【速報】「逮捕は待った方がいい」と進言した検事が出廷 無罪のプレサンス元社長“違法捜査”国賠訴訟 証人尋問で明かされる真意は
大阪地検特捜部が捜査した業務上横領事件で、無罪となった不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長が検察の違法捜査を訴えている裁判で、14日、「逮捕は待った方がいい」と主任検事に進言していた男性検事の証人尋問が始まりました。
午後からは、進言を聞き入れなかった主任検事の尋問も行われる予定です。
■机をたたきながら「損害は10億や20億じゃすまない」強引な取り調べが判明
プレサンスコーポレーションの元社長・山岸忍さん(61)は2019年、学校の土地の売買をめぐる21億円の横領事件に関与したとして、大阪地検特捜部に逮捕・起訴されました。 刑事裁判では、男性検事が山岸さんの元部下の取り調べで机をたたきながら「あなたはプレサンスの評判を貶めた大罪人ですよ」「会社の損害を賠償できます?10億20億じゃ、すまないですよね」などと執拗に迫り供述を取ったことが判明。 大阪地裁は2021年、男性検事による山岸さんの元部下への取り調べについて「必要以上に強く責任を感じさせるもので、部下が真実と異なる供述をした可能性がある」と指摘した上で、「部下の証言は信用できず横領と認定するには合理的な疑いが残る」として山岸さんに無罪を言い渡し、その後、無罪判決が確定しました。 山岸さんは2022年、大阪地検特捜部の“違法捜査”によって損害を受けたとして、国に7億7000万円の賠償を求め訴えを起こしました。 今年4月、大阪地裁は取り調べの担当検事や事件の主任検事ら4人の証人尋問を行うことを決め、事件を担当した検事が証人として法廷に初めて出廷することになりました。
■尋問初日は実際の取り調べ映像公開 強引な取り調べが問題視される検事が出廷「無罪は残念だった」
初日の11日には、山岸さんの元部下の取り調べを担当した男性検事の尋問から始まりました。 男性検事が法廷に入る前に、本人による取り調べが録音・録画された映像が法廷に流され、男性検事が「あなたはプレサンスの評判を貶めた大罪人ですよ」「どうして説明できないんですか。だんだん悪い顔になってきているよ」「あなたはその損害を賠償できます?10億20億じゃ、すまないですよね。それを背負う覚悟で今話してますか?」「あなたの説明はハナからおかしいじゃありませんか。山岸さんに対する説明はそういうていでやっていたんだっていうことにしていたんじゃないの?だってスタートがやっぱりおかしいじゃない」などと迫る様子が映っていました。その後、男性検事は法廷に入りました。 男性検事は「ウソや言い訳を重ねていると感じ、真摯に取り調べに向き合ってほしいと思って机をたたく行為や大声で厳しく問い質した」などと語りました。 また、山岸さんの代理人弁護士から「取り調べの仕方はやむを得なかったのか」と問われると、「まあそうですね」と答え、さらに「反省の一言もない?」との問いには「聞かれていないので。使った言葉は不穏当で、全く自分に非がないと言いたいわけではない。同じことはまずしないと思います」と語りました。 また、無罪判決に対する感想を問われた検事は「非常に残念な判決と思った」と話しました。 山岸さん自身も「間違いを起こしたら腹を切ると言っていたようだが、どういう気持ちで言ったのか」と問いかけ、男性検事は「取り調べに命を懸けて全身全霊で臨んでいるので、あなたにもきちんと真摯に向き合ってほしいという意味だった」と答えたため、山岸さんが「できもしないことを堂々と言うのか」と尋ねると、男性検事は「それは例えで」と答えました。 さらに山岸さんが「元部下があなたの取り調べを怖いと思わなかったと思うか」と聞くと、男性検事は「山岸さんもよくご存じの通り腹の据わった方と思うので」と話し、山岸さんは「私はそうは思わない」と言葉を返しました。 その後、山岸さんの取り調べを担当した女性検事の尋問も行われ、「なぜ取り調べで『私が弁護士だったら絶対黙秘しろだなんて言わない』などと言ったのか」と聞かれると「言い分をちゃんと言ってもらいたかった。そうすることで真実が明らかになると思っていた」と答えました。 また、「無罪判決が出た時は大阪高検の検事だったが、なぜ控訴しなかったのか」という問いかけに、女性検事は「職務上の秘密のため回答を控える」としました。 11日の証人尋問が終わった後、山岸さんは会見で「組織としての体をなしていない。だから冤罪が起こるのではないか」と話しました。
■「逮捕待った方がいい」主任検事は進言聞き入れず… 14日に双方の尋問
14日に出廷する主任検事と男性検事は期日に先立ち、陳述書で捜査の経緯を説明していました。 このうち、事件関係者の1人の取り調べを担当した検事は、事件関係者が山岸さんが関与したとする供述を撤回したため「逮捕は待ったほうがいい」と主任検事に進言していたとしています。主任検事は「撤回を申し出る前の供述の方が信用できる」として進言を聞き入れなかったということです。 これに対し、主任検事は陳述書で、「よく覚えていないが、検事がそう説明しているなら否定しない」としています。 午後に予定されている主任検事の尋問は18日にも引き続き行われ、同日にも3日間にわたる証人尋問が終了する予定です。
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