「会社はつぶれるようにできている」…それでも生き残る企業、そのまま終わる企業の“分岐点”【経営コンサルが解説】
存続か、廃業か、売却か、倒産か。経営の未来を考えたとき、どの企業も選択肢はこの4つしかありません。多くの経営者は「存続」を選びますが、現実には高いハードルが存在します。そもそも企業経営の本質とは何か。ゴーイング・コンサーンを体現するために、経営者は何に取り組むべきか。幅広い業界でコンサルティングを実施する福元章士氏(株式会社タナベコンサルティング)が、経営を未来に繋ぐうえで欠かせない視点を解説します。
企業経営の本質は「経営を未来に繋ぐための取り組み」
「会社はつぶれるようにできている」。この命題に、筆者らは経営者とともに長年向き合ってきた。 現在、日本国内には約367万社の企業があるといわれている。その中で、100年企業の割合は1.2%、200年企業は0.04%である(タナベコンサルティング調べ)。企業存続がいかに難しいか、この数字が物語っている。 では、なぜ企業存続が難しいのだろうか。一般的に、企業における事業の寿命は30年と言われてきた。いわゆる「事業30年説」である。そして、現在では事業そのもののライフサイクルがさらに短くなっていると言われており、少なくとも100年企業になるためには3回以上の事業ポートフォリオ転換に成功しなければならない。 企業が持続的に成長発展するためには、(1)新たな成長エンジンとなる事業と、(2)それを実行する人材が不可欠である。この2つの要素を承継のタイミングでしっかりと具備することこそが、企業の承継の難しさと言える。事業の寿命が企業の寿命になってはいけない。そして、経営者の寿命が企業の寿命になってはいけないのである。 現実、昨今の後継者不足で、日本企業の125万社は次世代へ経営を繋ぐストーリーが描けていないと言われている。すべての企業において選択できる道は、「存続コース」、「廃業コース」「売却コース」「倒産コース」の4つしかない。当然、経営者が選択する道は「存続コース」である。我々が目指す経営の承継とは、「ファーストコールカンパニー 100年先も一番に選ばれる会社」の実現に向けて未来へ経営を繋いでいくことである。その観点から言えば、「売却コース」を選択して企業という公器を次の世代に残していくことも一つの選択肢になる。結果的には企業や従業員の雇用を守ることになり、社会貢献に繋がる選択であると言える。 このことから、企業経営の本質は、「経営を未来へ繋ぐための取り組み」と捉えることができるのではないだろうか?