【バスケ日本代表】恩塚ジャパンの"頭脳“吉田亜沙美「パス出せば決めてくれる」 4試合でシュートゼロも存在感が際立つワケ
自身の役割は「流れを出す」こと
代表にはさらにスピードを生かしたドライブが武器の宮崎早織、冷静なゲームコントロールで鋭いアシストを供給する町田瑠唯という個性豊かなポイントガードが揃う。相手にとって脅威になっていることは間違いない。 「各々違うプレースタイルなので、相手のガードは困ると思う。組み立てるという意味では、今日の試合であれば一旦落ち着かせる部分もあっていいのかなと思いました。3人でゲームの流れを見ながらお互いアドバイスし合い、作っていければと思っています」。PGトリオはベンチでも常に会話をしており、チームの土台を支える。 吉田が考える自身の役割も明確だ。 「私はファストブレイクやセカンドブレイクで点を取るということを多くやりたい。セットオフェンスでは宮崎、町田が崩し、私は流れを出すということを意識しています」 2019年、2021年の2度の引退を経て、2023年4月に現役復帰。2024年の年明けに代表へ舞い戻り、再びJAPANのユニホームに袖を通した。 体力面やパスの強さ、状況判断の精度など全盛期の感覚に追い付いておらず、「まだ100%自分のプレーのパフォーマンスは戻ってきているわけじゃない」と言う。それでも個性をしっかりとチームに還元し、「練習を積み重ねていきながらシュートも増やしていければ」とスコアへの意欲も衰えていない。 得点力の高い頼もしい後輩たちに囲まれ、アシストの楽しさも再確認しているよう。「パス出せば必ず決めてくれますし、(私が)ドライブに行った時の合わせもみんなすごく上手。みんなが『いつでもパスを取る』という緊張感を持ってやってくれているので助かっています」と笑みを浮かべる。
自覚するメンターの役割「全力でサポートしたい」
吉田の存在がチームメートに与える影響も大きい。 「練習中から人一倍声を出してくれて、一番盛り上げてくれて、すごく頼りになります。試合中もゲームの流れを一番理解しているので、今どこで攻めようかとか、今どこが危ないかっていうところを判断できる。心強いです」 主将の林がそう言えば、ガード陣の中で最も若い28歳ながら、先発の司令塔を務める宮崎も厚い信頼を寄せる。 「ベンチに帰った時、どんなプレーをした方がいいかをルイさん(町田)やリュウさん(吉田)に聞いてアドバイスをもらっています。先輩たちが後についてくれているのはすごく心強いです」 メンターとしての役割は吉田も強く自覚している。以下は宮崎の評価を聞かれた時のコメントだ。 「成長している部分はたくさんありますけど、一番はメンタルだと感じています。東京オリンピックの時、彼女は試合に出る機会が少なくて悔しい思いもしたはず。そこが今、こうやってメインガードをやっている要因だと思う。彼女のサポートを全力でやりたいです」 「金メダル獲得」という日本女子バスケ界にとって未踏の領域を目指す恩塚ジャパン。百戦錬磨の吉田の頭脳とリーダーシップは、パリの地でさらなる存在感を発揮するに違いない。
長嶺 真輝