【DeNA】下克上達成への鍵はファイナル初戦 講じた“秘策”とは？ 日本シリーズ進出の裏側
セ・リーグ3位のDeNAが、リーグ覇者の巨人とのCSファイナルステージを4勝3敗（巨人の1勝のアドバンテージを含む）で制し、17年以来7年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。下克上達成への鍵はファイナル初戦とにらんだDeNAは、“秘策”を講じていた。日本シリーズ進出の裏側に迫った。 ◇ ◇ ◇ DeNAが、1勝のアドバンテージを持つ巨人を倒し、日本シリーズに進出するには、初戦の勝利が必須だった。予告先発がなかった時代であれば、予想と反した投手の奇襲先発も可能だったが、試合前日にケイが予告先発と発表。セ・リーグ覇者であり、今季8勝16敗1分けと大きく負け越した相手への秘策が、ベテラン戸柱恭孝捕手（34）のスタメンマスクだった。 相川ディフェンスチーフ兼バッテリーコーチから進言を受け、三浦監督が決断した。今季、主戦捕手だった山本が故障で離脱後、レギュラーシーズン3試合は伊藤とのコンビ。大方の予想は伊藤だったが、3試合の分析、戸柱のシーズン終盤での状態の良さなど、複数の要素を照らし合わせた上で、1度もなかったケイ－戸柱のコンビで“奇襲”をかけた。 首脳陣の思いに、バッテリーが最高の結果で応えた。右打者には外角、内角にカットボールを効果的に使い分けた配球で幻惑。左打者には外角へのスライダーが有効で、岡本和とともに、警戒する打者の1人だった丸には3打席ともに勝負球に使って、3打数無安打に封じた。出番はなくてもベンチでケイの投球を分析。頭の中でイメージし続けたリードを体現した。 相手からすれば、球種やスタイルなどデータは豊富だが、初バッテリーのケイ－戸柱とは“初対戦”だった。6回無失点の好投に、相川コーチは「ケイが素晴らしかったし、戸柱のリードも良かった」と評価。戸柱は「ケイがよく投げてくれた」とたたえた。 第2戦以降の伊藤の離脱は痛かったが、戸柱は出場全試合で安打を放つなど攻守で活躍した。負けたら終戦の第6戦も、ケイとのバッテリーで主導権を渡さなかった。必勝が求められた初戦の勝利が日本シリーズへ導き、戸柱はCSでMVPに輝いた。【久保賢吾】
