「平和サミット」の柱はウクライナの原子力施設の安全、声明で「核の威嚇許さず」とも明記へ
ロシアの侵略を受けるウクライナが提唱する和平の実現に向け、15、16日にスイスで開く国際会議「平和サミット」の共同声明案が明らかになった。〈1〉原子力施設の安全〈2〉食料安全保障〈3〉捕虜解放や子どもの帰還――が柱だ。「核兵器の威嚇や使用は許されない」とも明記する。主に欧州首脳や岸田首相など90の国や国際機関が参加する見通しの会議で合意を目指す。
声明案は、ザポリージャ原子力発電所などは「ウクライナ管理下で安全に運転する」とうたう。露軍が輸送を妨害してきたウクライナ産農産物の安全な輸出のため、黒海やアゾフ海の安全確保を強調し、「食料安全保障の武器化を認めない」とする。全捕虜の解放や、約2万人とも言われるロシアに強制移送されたウクライナの子供の返還も求める。
当初、ウクライナは露軍の撤退を含む「10項目の和平案」を提唱した。ただ、対露関係を重視する一部の国の理解を得るため、露軍撤退やロシア批判は盛り込まない。今回の会議はロシアを招いていない。声明案では和平の実現に「全ての当事者の関与が必要」と明記し、ロシアを議論に参加させる重要性も強調した。
ただ、外交筋によると、中東諸国などに共同声明を出すことに反対の声があり、議長声明に格下げされる可能性も残るという。