銀行員が自殺…異動先で未経験業務、怒鳴る上司「数字が上がらない」 追い詰められた25歳 労災認定、銀行「風通し良くする」 上司の具体的な処分内容は不明、遺族「命を落とすまで数字を追わせるのでしょうか」
2017年に東和銀行川越支店(埼玉県川越市)に勤務していた男性行員=当時(25)=が上司のパワーハラスメントなどを受けて自殺し、昨年8月10日に川越労働基準監督署から労災認定されていた問題で、同行は労働問題の再発防止策を発表した。 叫んだ男性死亡…同僚が振り向くと、男性が汚水に転落 深い底へ沈んでしまう 松屋フーズ工場で
再発防止策は主に、(1)ハラスメント研修などを継続的に実施し、業務の目標設定を本部主導から営業店の自主設定に変更する(2)人事部などの担当者が職場環境やハラスメントの有無についてヒアリングを行うと同時に、従業員組合でも独自調査を行い、監査部が結果を経営陣に共有する(3)若手行員の育成方法を結果重視からプロセス重視に変更し、融資案件などの相談を本支店が一体で支援する―ことの3点。17年10月から順次着手しているという。 同行は「行員一人一人が安心して働ける風通しの良い企業風土を築けるよう全行を挙げて取り組んでいく」とした。17年12月に当時の川越支店長、副支店長、上司を社内規定にのっとり処分したが、具体的な内容は明らかにしていなかった。 ■遺族「ただただ悲しい」(以下、初報記事) 東和銀行(群馬県前橋市)の川越支店に勤務していた男性行員=当時(25)=が2017年に自殺し、川越労基署から労災認定されていたことが7日までに、関係者への取材で分かった。認定は昨年8月10日付。異動後の未経験業務に加え、日常的に強い口調で叱責(しっせき)されるなど上司によるパワーハラスメントにより心理的負荷が重なったとされる。
遺族の代理人弁護士によると、男性は17年4月に川越市の川越支店に異動し、法人渉外課に配属。その後、上司から日常的に「稟議(りんぎ)書作成が遅い」「企業分析が下手」「数字が上がらない」などと怒鳴られ、返事以外の発言をすることがはばかられる環境で仕事をしていた。また、同年5月ごろには顧客から会社として応じることができない無理な注文を受けていたこともあったという。 追い詰められた男性は同月31日、出社せずに自殺。直前には「転勤して、問題ばかり起こしてしまい、皆さんにご迷惑をおかけしてしまっていることを非常に悩んでおりました」「その事を支店の中で、誰にも相談できず、どうにもならなくなってました」などとメモを残していた。 遺族は「夢と希望を持って社会人になった息子が、自ら死を選択してしまったことは、ただただ悲しい。命を落とすまで数字を追わせるのでしょうか。そんな組織を変えてほしい」と訴えている。