ミセス「コロンブス炎上」MV停止や即謝罪でも“延焼”の深刻度 大森元貴の謝罪は誠実だったのになぜ?
6月13日、3人組の人気ロックバンド・Mrs. GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル。以下、ミセス)の新曲「コロンブス」のミュージックビデオ(MV)が、「差別的な内容」だと批判を受け、公開停止となりました。 【写真】もう見られない 映停止となったコカ・コーラのCMで、ニッコリ微笑むミセスのメンバーたち 同日、この楽曲をタイアップに起用していた日本コカ・コーラ社もCMを放映停止にした旨を発表しています。 アーティストは、クリエイティブとリスク管理をどう両立させればよかったのか。今回の騒動から見えてきたことを解説したいと思います。
■ミセスの鎮火の動きは速かったが… 「コロンブス」というタイトルに、ミセスのメンバーが扮したコロンブスやナポレオン、ベートーベンが類人猿を模したキャラと交流する映像表現。曲名にもなっているコロンブスは、アメリカ大陸へ到達した人物というだけでなく、侵略者であった一面が最近では広く伝わるようになりました。 そういった人物の名を冠したことも問題視されていますが、「類人猿が先住民を模しているのでは」「白人を想起せる人物が類人猿に人力車を引かせたり文明を教えたりしているような表現は不適切では」と批判を浴びているのです。
MVを制作したユニバーサル ミュージック社は公開後24時間も立たないうちにYouTubeでの公開を停止。その後すぐにミセスのボーカル・大森元貴氏もコメントを発表しました。 問題映像の迅速な非公開化、メンバーによる素早い謝罪など、炎上後の対応はかなり徹底したものでした。 この映像に何の問題があるのかわからないという声も出る一方、現時点では、このような内容を題材にしてしまうセンスや歴史的背景への無知さ、公開されるまでのチェック体制の不備など、ミュージシャンと制作者双方へさまざまな批判が出ています。
不祥事などで炎上した場合、鎮火に向けて迅速に動くことは、危機対応として理にかなっています。また大森氏の謝罪内容も、真摯に反省を述べて他責や言い訳など交えないものでした。 しかし、適切な謝罪はもちろん大事ですが、残念ながら炎上の内容によっては、どれだけ誠意のこもった謝罪内容でも、すべて帳消しにできるわけではありません。 今回の炎上は今はまだ日本国内だけのものですが、人種差別や植民地政策という問題をはらんでおり、国際的にも批判を浴びかねない内容です。それだけに、このまま鎮火できるかは、まだまだ予断が許されない状況だと思います。