書評ゲームで本好きに 魅力発信へ多世代交流、山形中央高1年生4人が企画
若者の本離れが深刻化する中、山形市の山形中央高の1年生4人が同市内で書評ゲーム「ビブリオバトル」を開催し、本の魅力を発信している。本だけでなく、本を語る人も併せて知ることができるため、地域住民に高校生の等身大の姿が伝わり、世代を超えた交流につながっている。 ビブリオバトルは発表者が1人5分間でお薦めの本を紹介した後、会場全体で数分間のディスカッションを行う。観覧者は全ての発表終了後に最も読みたくなった本に投票し、チャンプ本を決める。 活動に取り組んでいるのは足立実加さん(16)、長沢遼大さん(16)、佐藤颯太(そうた)さん(16)、小和田琉惺(こわだりゅうせい)さん(15)。「総合的な探究の時間」の授業でビブリオバトルについて研究しており、その一環として発表者や観覧者を募って実践した。準備を進める中で、「高校生自らバトルを企画し、推し本を紹介することは、若者の本離れだけでなく人間関係の希薄化といった社会課題の解決にもつながるのではないか」と考えるようになったという。
初回は10月26日に同市立図書館で開催した。1人3分間の発表時間とし、高校生5人を含む計7人が、第2次大戦中の独ソ戦を題材にした「同志少女よ、敵を撃て」、高校が舞台の「二木先生」、村上春樹さんの「神の子どもたちはみな踊る」といった小説などを取り上げ、魅力や推しのポイントを紹介した。 会場には高校生に加え30~70代の約20人が観覧に訪れ、「どこに共感したのか」などと質問を投げかけたり、バトル後に本について感想を言い合ったりして交流を深めた。無職村山恵美子さん(67)=同市諏訪町1丁目=は「今の高校生はこんな本を読んでいるんだと分かった。これからもどんどん企画してほしい」と話した。 発表者も務めた足立さんは「地域の人たちと気持ちが通い合ったような感覚を得られた。他の本も紹介したい」と声を弾ませた。次回は12月に県立図書館で開催する予定。