佐藤隆太×岡田義徳×塚本高史「まだまだせめぎ合いがある」成長と挑戦の現場の裏側:インタビュー
佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史が、『映画 THE3名様Ω~これってフツーに事件じゃね?!~』(公開中)に出演。佐藤隆太はジャンボ役、岡田義徳はまっつん役、塚本高史がミッキー役を演じる。本作は石原まこちんのコミックが原作。フリーター3人組が深夜のファミレスで会話を繰り広げるだけの脱力感あふれるシチュエーションコメディ「THE3名様」の劇場版。深夜のファミレスで、かつてない大事件が巻き起こるさまを描く。2005年にオリジナルDVDとして実写シリーズ化。これまでのシリーズのプロデュースを手がけ、2022年に12年ぶりの復活作として劇場公開された『THE3名様~リモートだけじゃ無理じゃね?~』でメガホンもとった森谷雄氏が、今作でも監督とプロデュースを担当する。インタビューでは、とても愛おしくなったと話す本作のみどころや、スペシャルゲスト櫻井翔が登場することになった撮影の裏側に迫った。【取材・撮影=村上順一】 ■お前が来るような現場じゃねえ! ――約2年ぶりに劇場版として復活されますが、完成された作品を観られて、どのような思いがありますか。 塚本高史 しっかり客観的に観られたといいますか、この3人を引きで観てとても愛おしく思いました。作品は従来通りショートストーリーの集まりなのですが、ちょっと繋がっていたりして、今回は友情だったり、3人が3人を想いやっている感じがすごく伝わってくるエピソードが多いので、3人がとても可愛いんです。 佐藤隆太 すごく映画になったなと感じました。前回の復活作も映画でしたが、19年前から始まったDVDシリーズを映画館で贅沢に楽しんでいただこうというコンセプトがありました。今回もショートストーリーの積み重ねですが、それらが最後にしっかり回収される作品になっていて、僕は今の段階で『THE3名様』のベストな作品ができたんじゃないかなと思っています。この映画から初めて観ていただく方にも観やすいと思います。 岡田義徳 本当に映画ができたという感覚です。1話が長くて、ボリュームがあって、ちゃんと笑いどころもあります。みんなでストーリーを熟考しただけのことはあるなと、改めて思いました。 ――本作の楽しみにしてもらいたいところは? 塚本高史 2年前の『THE3名様~リモートだけじゃ無理じゃね?~』よりもクオリティも内容も高くいきたいというのはもちろんあったので、僕ら3人が楽しんでやらないと 『THE3名様』じゃないよねというのは大前提にありました。その中でちょっとした細工と言いますか、本作にふさわしいゲストが登場するところは注目ポイントです。 佐藤隆太 ゲスト出演してくれた櫻井翔くんは、DVDシリーズの時から『THE3名様』を観てくれていて、「出させてよ」と言ってくれていました。冗談半分のところもあったと思うのですが、僕はすごく嬉しくて。現実的に難しいだろうし、基本的に『THE3名様』はゲストが出ない作品でもあったので、具体的に出演に関して動いたことはなかったんです。他にもたくさんの人が「出演したい」と言ってくれていたのですが、ご迷惑をかけたくないので、僕らは「出ない方がいいです」と、すごく丁重にお断りさせていただいて(笑)。 岡田義徳 「経歴に傷がつくからやめた方がいいですよ」って(笑)。 佐藤隆太 でも、今回はゲストが必要なストーリーになっていて、企画・プロデュースの森谷さん含めてみんなで作戦会議をしたんです。「この役は誰がいいと思う?」とか「僕たちも納得できるような人がいいよね」と話していました。実は僕たちからは櫻井くんの名前は出ていなくて、森谷さんが以前櫻井くんが出演したいと言ってくれていたのを覚えていて、「実は櫻井さんに出演をあたってみました。スケジュールを調整してでもやりたいと言ってくれています」と話してくれて。 塚本高史 それを聞いて僕らもびっくりだったよね。 佐藤隆太 いろいろな人が出演したいと言ってくれていたけど、最初からずっと言ってくれていたのが櫻井くんで。彼とこのタイミングで共演できたことが、すごく嬉しかったです。 塚本高史 撮影の日、櫻井くんが現場に来たとき、「お前が来るような現場じゃねえ! 帰れ!!」って(笑)。 佐藤隆太 「なぜ引き受けた!?」というところから入って(笑)。基本現場は櫻井くんが来てくれたので、嬉しくてワチャワチャしていたのですが、撮影が始まってからは空気感もピリッとして。ちょうどあの時、櫻井くんは連続ドラマの主演として出演していたので、忙しい時期でもあったと思います。しかも撮影当日が彼の誕生日というメモリアルな日でした。すごく本気でやってくれたので、いい意味で緊張感があり、思いっきりぶつかり合えたと思います。 ■事件だった?! アクリルスタンド製作 ――本作のタイトル名にちなみまして、「これってフツーに事件じゃね?!」というエピソードはありますか。 塚本高史 この歳になって初めてアクリルスタンドをグッズとして作って、それが思いのほか売れたというのは事件です(笑)。 岡田義徳 それ、本当に事件だよね。 塚本高史 最初はふざけて考えていたと言いますか、それをちゃんと真に受けてくれた大人の方たちがいて(笑)。それは僕らの中でも忘れることができない出来事になりました。 岡田義徳 これぐらい作っておけば大丈夫だろう、という数を売り切っちゃって、再販を4回しましたから。捨てられていないかちょっと心配で(笑)。 塚本高史 『THE3名様』のファンの方たちを“THEファン名様”と呼んでいるのですが、かぶったアクリルスタンドをファン名様同士で交換したりすることで、沸くんじゃないのかなと思っています。 ――今後もアクリルスタンドはグッズとして定番化していきたいですか。 一同 いや~もういいかな(笑)。 ――ではアクリルスタンドを、どのように楽しんでもらえたら嬉しいですか。 塚本高史 いま「#3名様をいろんなところに連れてって」選手権というのを、InstagramやX (旧ツイッター)でやらせていただいています。いろんな場所でアクリルスタンドを撮影した写真をSNSに投稿していただいて、その投稿していただいた中から、後日僕らが選びたいと思っています。 佐藤隆太 どこに連れて行ってほしいんだっけ? 塚本高史 女湯です。 佐藤隆太 バカ野郎(笑)。 塚本高史 僕らが行けないようなところに連れて行ってほしいです! ■まだまだせめぎ合いもある ――久しぶりにジャンボ、まっつん、ミッキーを演じられて、今だから出せる面白さや改めて感じたキャラクターの魅力はありますか。 塚本高史 19年前もそうだったのですが、今じゃないとできないと思いながら、僕はやっていました。これを19年前に同じことをやれと言われていたら、今とは違うクオリティだったと思います。今だからこそできるもの、特にミッキーは時事ネタを取り入れたりしているので、本当に今しかできないなと常に思います。 佐藤隆太 僕はこの現場がすごく楽しいです。時間も予算も限られた中でやっているので、すごくハードでタフな現場ではあるのですが、他の現場ではなかなか味わえないような楽しさがあります。自分の役に関して言うと、自分で作るというところもありますが、まっつんとミッキーの2人にジャンボを作ってもらっているみたいな感覚もあるんです。一昨年に12年ぶりに復活して、2人と芝居を始めた途端に「あーこれだ、これだ」と自然と当時に戻ることができて。それぞれがいろいろな現場を経て、会う度にみんなが成長しているのを見るとすごく刺激を受けます。自分も止まっていられないなと思いますし、そこが続けていられる秘訣というか、大きなポイントになっています。毎回2人がすごく面白い芝居を見せてくれるからこそ、僕も何か返さなければとモチベーションにもなっています。 ――岡田さんはいかがですか。 岡田義徳 僕は以前より無理をしなくなったと言いますか、DVDシリーズをやっていたのは10年以上前の話になりますけど、あの頃は勢いに任せていたところもあったと思うんです。 塚本高史 僕、ホットパンツとか裸にオーバーオールはもう無理だよ(笑)。 岡田義徳 (笑)。今はいいおっさんになってきて、もちろんエネルギーも出せるけど、今はそれだけではなく、経験を経て培ってきた技術で闘っている気がしています。歳を取ったなあとは思いますけど、まだまだせめぎ合いもあります。3 人で『THE 3名様』の全体を作っているというのは、今回の撮影で感じましたし、2人の成長や自分の成長も感じられたので、すごく楽しかったです。 ――本作の最後に観られる『FASHION OF THE THREE』も印象的でした。この作品はみなさんの衣裳も見どころだと思うのですが、衣裳についてどのように感じていますか。 塚本高史 見た目でこそミッキーは派手に映るかもしれないんですけど、ジャンボ、まっつんの2人もエピソード毎にすごく考えて衣裳を決めています。わかる人にしかわからないメッセージ性のあるような衣裳をそれぞれ選んでいるので面白いです。 佐藤隆太 衣裳部さんも面白がってくれていて、「この作品は絶対に他の人には譲りたくない」と言ってやってくれています(笑)。普通は「これどうですか?」とピンポイントで衣裳は提案されることが多いのですが、この作品ではこのラックはミッキー、このラックはジャンボ、これはまっつんという風に衣裳を用意していただいて、その中から自分たちで決めています。3 人それぞれが選んで着て、それを見てゲラゲラ笑って。監督から「もうちょっとこうした方がいいかな」とか「この衣裳は違う」と言われたことは一度もないですね(笑)。 岡田義徳 このTシャツを着て欲しいというリクエストはあったけどね。 塚本高史 「イメージじゃない」とか言われたことは確かに一度もない(笑)。 岡田義徳 そんなかっこいい言葉は全くなかった(笑)。 ――ジャンボのファンシーな衣裳も印象的でした。 佐藤隆太 ジャンボは歳を重ねる毎にファンシーになっていきます(笑)。 塚本高史 それが気持ち悪くなく、可愛くなっているからすごくいいよね。 ――まっつんのTシャツに書かれている文字も注目ですよね。 岡田義徳 メッセージ性が強くなりすぎないところを選んでいます。ストーリーに関係しすぎると、それに関連したTシャツを着てるなと思われてしまうので、そこはすごく気をつけているところなんです。 佐藤隆太 すごくこだわっているよね。たまに何を迷っているのかわからない時があって、もうどっちでも良くないかみたいな(笑)。 岡田義徳 僕のこだわりなんですけど、引っかかりすぎない微妙なラインが自分の中であるんだよ。 塚本高史 そういうところで『FASHION OF THE THREE』が映画のラストを飾っているわけで、観ていただいた方がどのような思いで観てくれるのかすごく気になります。冒頭でお話しさせていただいたように、今回の 『THE3名様』は愛おしいと思ったように、そこで涙してしまうファン名様がいるかもしれない。 佐藤隆太 前回から始まった『FASHION OF THE THREE』ですが、実は映画としての尺、基準に足りていなくて、苦肉の策で作ったコーナーだったんです。でも『FASHION OF THE THREE』を観て僕は泣きそうになりましたね。「なんだ!?これで『THE3名様』は終わるのか!!?」みたいな感覚にもなったりして(笑)。 塚本高史 どこか遺影っぽくもある(笑)。もし次回作があるなら絶対やるべきだよね。 岡田義徳 そこで流れている曲も良かったからね。 塚本高史 カー◯ンターズのオマージュね(笑)。前回はエア◯スミスのオマージュだった。 岡田義徳 今回のオマージュのクオリティも高かったよね。 塚本高史 19年前のDVDシリーズの頃から楽曲を作っていただいていて、ロスに住んでいるSEREN-Dさんが絶妙なラインで曲を作ってくれました。 佐藤隆太 このオファーを受けた海外のアーティストの方がどんなテンションで、あの曲を歌っているのか見てみたいんだよね。 塚本高史 近所のお姉さんが歌っているんだっけ? 佐藤隆太 違うよ! 南アフリカ、ギリシャとかいろいろな国籍のアーティストの方が歌ってくれているんだよ。 塚本高史 それはやばいね! 佐藤隆太 最後に流れるフランク・シナ◯ラ風もすごいくいいですよ! (おわり) ・佐藤隆太 ヘアメイク:白石義人(ima.) スタイリスト:勝見宜人(Norihito Katsumi) ・岡田義徳 ヘアメイク:SHUTARO(Vitamins) スタイリスト:山田陵太 ・塚本高史 ヘアメイク:YASU スタイリスト:上井 大輔 / Daisuke Kamii(所属:demdem inc.)