サウジアラビアのお宝、日本初公開 イスラーム美術や初代国王の遺品など
「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」が3月18日まで、東京国立博物館 表慶館(台東区上野公園)で開かれている。 古代より交易が盛んで、人々と諸文明が行き交っていたアラビア半島。同展では、その躍動的な歴史と文化を今に伝えるサウジアラビア王国の至宝、約400点が見られる。「道」をひとつのテーマとし、第1章~第5章に分け、時代順に同国の歴史をわかりやすく紹介している。いずれも日本初公開。
第1章「人類、アジアへの道」では、アラビア先史時代の石器群をはじめ「人形石柱」などの出土物を中心に当時の人々の活動を紹介している。 第2章「文明に出会う道」では、前2500年頃からメソポタミア文明とインダス文明をつなぐ海上交易で繁栄したアラビア湾(ペルシャ湾)沿岸地域の出土物を展示している。メソポタミア美術の特徴を持つ「祈る男」などの石像や精緻な文様が刻まれた石製容器などが見られる。
第3章「香料の道」では、前1000年以降に香料交易で繁栄したオアシス都市の出土品を中心に構成。地中海方面で作られていたガラス容器やヘレニズム世界で信仰されていた神々の小像など、外来文化が多くみられる。同時に、青銅製人物像や黄金の「葬送用マスク」など、豪華な出土品も。 第4章「巡礼の道」では、イスラーム教が広まった7世紀前半以降のマッカ、マディーナという2大聖地のあるアラビア半島への巡礼がテーマとなっている。16世紀のクルアーン(コーラン)写本や17世紀に聖地マッカのカァバ神殿で実際に使われていた扉など、イスラーム美術の魅力を知ることができる。 第5章「王国への道」では、18世紀に誕生したサウード家によるサウジアラビア王国の初代国王・アブドゥルアジーズ王の遺品をはじめ、日用品や武具を展示している。
観覧料は一般620円、大学生410円、満18歳未満、満70歳以上は無料。 【サウジアラビア王国とは?】 サウジアラビアとは、アラビア語で「サウード(家)によるアラブ(の王国)」という意味を持つ君主制の王国。厳格なイスラーム教を国教とし、マッカとマディーナというイスラームの2大聖地を擁し、世界中から巡礼者が訪れる。現在の首都リアド周辺の領主であったサウード家が、アラビア半島の大部分を支配下に置き、王国を築いた。国土面積は約215キロ平方メートル(日本の約5.7倍)でその3分の1を砂漠が占めている。