ふるさと納税の節税が無効に!? ワンストップ特例の注意点を解説
昨年も、多くの方が利用したと思われるふるさと納税。ふるさと納税には、確定申告が不要なワンストップ特例というものがあります。 確定申告の手間が省け非常に便利な制度ですが、条件を満たさないと使うことができません。どのような場合に、利用ができなくなり、確定申告が必要になるのかについて本記事で見ていきます。
ワンストップ特例とは
ワンストップ特例とは、通常のふるさと納税同様、寄附分を翌年6月以降の住民税で控除する仕組みです。この控除を受けるには本来確定申告を行わなければなりませんが、それを不要とした特例です。 つまり、この特例を利用することによって確定申告の手間が省けるということです。
ワンストップ特例の概要
ふるさと納税そのものについての説明は省略しますが、総務省の「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和5年度実施)」によると、令和5年度の住民税控除額および控除適用者数は約6797億円、控除適用者数は約891万人で過去最高になっています。 そのうちワンストップ特例の控除額は約2565億円、適用者数は約465万人とこちらも過去最高でした。この結果から、ワンストップ特例は控除額が3分の1以上で、半数以上の方が利用していることになります。
ワンストップ特例が使える条件は?
ワンストップ特例が使えるのは、以下の3つの条件すべてに当てはまる場合です。 1.寄附先の自治体数が5つ以下 2.年明けに確定申告をしない 3.ワンストップ特例の申請書を期限内に寄附先に送った ただし、特例の適用申請後に、転居による住所変更等、提出済みの申請書の内容に変更があった場合、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までに、ふるさと納税先の自治体へ変更届出書を提出しなければこの特例は受けることができませんので注意してください。
誰でも利用できるわけではない
ワンストップ特例を使える人は、以下のような方に限られています。 1.会社員や派遣社員・パート等、年末調整で完結する給与所得しかない人で確定申告をしない人 2.源泉徴収されている年金生活者で確定申告をしない人 3.源泉徴収ありの特定口座で投資をし、確定申告する予定のない人 また、前提として「確定申告をしない人」となっていますので、 ・そもそも確定申告が必要な個人事業主やフリーランス ・給与の年間収入2000万円を超えている方 ・副業の所得が20万円を超える会社員 ・公的年金等の収入金額が400万円を超えている等の方 はこの制度を利用できません。 また、上記の人に加えて、還付の対象となる方(医療費が10万円を超える等)、住宅ローン控除を初めて受ける方等で確定申告が必要な場合も、この制度は使うことができませんので注意が必要です。