ももクロ卒業の有安杏果、ブレーク寸前取材を振り返り、未来を予測する
この日印象的だったのは、インストアライブを終えて握手会の準備が整うまで仮設ステージの後ろ側にいたももクロに、通りすがりの女子高生のグループが笑顔で話しかけていた光景だった。 「ファンになっていいですか?」と、メンバーたちに聞いていたのだ。インストアライブを観て、すっかり魅了されてしまったようだ。 とにかく観る者の心を瞬時につかむ勢いと力が、平均年齢14歳のこのグループにはほとばしるほどあって、その後、凄まじいスピードでスターダムに駆け上がって行った。そのブレークぶりは、広く知られている通りだ。
有安はまだまだ終わる気がしない アーティストとしての活動は十分期待できる
あれから8年。有安は、芸能界トップクラスのアイドルグループであるももクロの活動を続けながら日大芸術学部写真学科も卒業し、ソロ活動ではシンガー・ソングライターとして作詞作曲にも取り組んできた。都内の自宅マンションには防音したブースがあって、そこにこもって楽曲の制作をすることもあると聞く。2016年には横浜アリーナで単独ライブを開催し、1万人を動員。昨年はメンバー初のソロアルバム「ココロノオト」が話題になった。同アルバムを引っさげての東名阪ツアーや日本武道館でのライブも実現した。これだけの実績をつくり、さらにもともとクリエイター気質の強さで知られるだけあって、今後のことは何も決まっていないというものの、なんらかの形で創作活動は続けて行くことは間違いないのではないかとみられる。 自身のブログに「まずは規則正しい生活をしてゆっくりとした日々を過ごしたいと思います。今までの22年間で出来なかった普通のことを、少しずついろいろやってみたいです。そして落ち着いたら、普通の日常の生活を送りながら22歳の女の子としての教養や知識をしっかりと身につけられるように励みたいと思います」とつづった有安。 ももクロだけではなく、1歳から赤ちゃんモデルとして芸能界と関わりながら人生を駆け抜けてきただけに、普通の女性としての生活へのあこがれがあるのは事実だろう。しばらく芸能界のハードスケジュールに縛られた生活からは身を引いて、新たなライフスタイルを築きながら、自分を見つめ直す時間を送る……しかし、それでもクリエイターとしての素養、表現活動へのモチベーションがなくなることはないはず。自らのペースで、やりたいことをやりたくなるタイミングがくるのは間違いない。 アーティストとしての有安杏果に会える日は、いつか必ずくるだろう。 (文・写真:志和浩司)