レンジローバー・スポーツ x ポルシェ・カイエン 比較試乗(2) 高級感と多用途性か 技術的な達成度か
ひときわ刺激的なスポーツSUVは?
2台ともトルクベクタリング機能を備え、パワーを外側のリアタイヤへ多く伝え、鋭い旋回を実現している。カイエン・ターボ E-ハイブリッドは、回頭性の鋭さやコーナリング・バランスが見事。高速域でもフラットで、驚くほど安定している。 対するレンジローバー・スポーツ SVは、路面の凹凸次第では姿勢が若干安定せず、ラインが揺らぐことも。とはいえ、グリップ力に不足はなく、ボディロールは最小限。このクラスの多くのライバルを持ってきても、遥かに運転は楽しい。 比べれば、カイエン・ターボの方が漸進的で即時的。フロントアクスルの接地性が高く、シャシーレスポンスも素早い。ボディは実際より小ぶりに感じられ、扱いやすい。オンロード性能で、より優秀なことは否定できない。 好バランスなシャシーが、正確で敏捷な操縦性を叶えている。パワフルな4.0L V8ツインターボエンジンの味わいも濃い。速いだけでなく、エンターテイメント性が高く、走りはドラマチックだ。 レンジローバー・スポーツ SVは、高級感と多用途性で勝る。主観的なものだが、スタイリングも美しいと思う。今回は比較しなかったものの、オフロード性能も恐らく秀でているだろう。 どちらへ高い得点を与えるべきか。高級SUVへ求めるもので、采配は変わってくるだろう。それでも筆者は、カイエン・ターボ E-ハイブリッドの方が、技術的な達成度は高いと感じた。スポーツSUVとして、ひときわ刺激的だ。
ポルシェ・カイエンとレンジローバー・スポーツ 2台のスペック
■ポルシェ・カイエン E-ハイブリッド・クーペ GTパッケージ(英国仕様) 英国価格:15万4000ポンド(約2926万円) 全長:4930mm 全幅:1983mm 全高:1678mm 最高速度:305km/h 0-100km/h加速:3.6秒 燃費:55.5km/L CO2排出量:41g/km 車両重量:2495kg パワートレイン:V型8気筒3996cc ツイン・ターボチャージャー+電気モーター 使用燃料:ガソリン 駆動用バッテリー:25.9kWh 最高出力:740ps/6000rpm(システム総合) 最大トルク:96.7kg-m(システム総合) ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動) ■ランドローバー・レンジローバー・スポーツ SV エディションワン(英国仕様) 英国価格:17万1460ポンド(約3258万円) 全長:4946mm 全幅:1990mm 全高:1820mm 最高速度:289km/h 0-100km/h加速:3.9秒 燃費:8.4km/L CO2排出量:271g/km 車両重量:2485kg パワートレイン:V型8気筒4395cc ツイン・ターボチャージャー+ISG 使用燃料:ガソリン 最高出力:635ps/6000-7000rpm 最大トルク:76.3kg-m/1800-5850rpm ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
マット・ソーンダース(執筆) マックス・エドレストン(撮影) 中嶋健治(翻訳)