<366日>狩野雄太Pが語る後半の面白さ「恋愛一直線で、二転三転しながら明日香と遥斗の恋が展開していきます」
広瀬アリス主演の月9ドラマ「366日」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系/FODにて配信)。本作は、沖縄出身のバンド・HYの名曲「366日」の世界観に着想を得たオリジナルストーリー。主人公・明日香(広瀬)が同級生の遥斗(眞栄田郷敦)と高校時代に実らなかった恋をかなえようと再び動き出したところで予期せぬ悲劇に直面しながらも、愛する人を思い続ける壮大な愛の物語が展開する。このたび、WEBザテレビジョンでは、プロデューサーを務める狩野雄太氏にインタビュー。広瀬、眞栄田ほか、坂東龍汰、長濱ねる、綱啓永の主要キャストの撮影現場での様子や、後半戦に突入した物語の見どころなどを聞いた。 【写真】ようやく思いが通じ合った明日香(広瀬アリス)と遥斗(眞栄田郷敦)だったが… ■狩野Pの大好き&思い出の楽曲「366日」をモチーフに ――放送スタート後、作品の反響はいかがでしたか? 恐れ多い反響がいただけて、ありがたいなと思っています。業界関係者の方から「見たよ」と連絡をいただいたのも、これまでやってきた中で一番多かったです。プライベートでお店で並んでいるときに、ちらっとドラマのことを語っている声が聞こえてきたり、見てくださっているんだと、そういう驚きがありました。 ――モチーフとした「366日」は16年前の楽曲ですが、なぜ今この曲だったのでしょうか。 もともとこの曲がすごく好きで、いろいろな方のカバーも聞いている中で、昨年の1月くらいに川崎鷹也さんとHY・仲宗根泉さんが歌っているPVをたまたま見ました。そのアレンジもすごくよくて、やっぱりいい曲だなと思って。ちょうど連ドラの企画を考えていたときで、フジテレビでは昔、「天体観測」(2002年)など楽曲がモチーフになっている作品がいくつかあったのですが、最近そういうのをやってないよなと企画を考え始めたのが一番大きなところです。それから、自分が今年40歳になるのですが、入社した2008年当時のヒット曲で、思い出にも残っているというのもありました。 ■歌詞を各エピソードに取り入れる構成 ――失恋のイメージも強くて、物語が悲しい方向にいくのではないかという予想もあったりしますが、楽曲の要素をどのようにシーンに取り入れたりしているのでしょうか。 確かに失恋のイメージがある曲でもありますが、仲宗根さんやHYのメンバーにお伺いしたら、大切な人を強く思い続ける気持ちを歌っているんですということでした。365日、1年中思っても足りないからもう1日足したという思いを込めてタイトルが付けられたというお話もあったので、主人公の明日香が遥斗をどれだけ強く思い続けられるのかということを中心に描いてきたいと思い、ストーリーを組み立てました。 失恋的な要素として、第4話で長濱さん演じる莉子と彼氏の別れがありましたが、歌詞を部分的に拾うということを考えていて、暗い話にはそんなにするつもりはないんです。第1話では「それでもいいと思える恋だった」、第4話だと「恋がこんなに苦しいなんて 恋がこんなに悲しいなんて」という思いと、歌詞の一部分を拾って各話を作っています。 ■主要キャストの「迫力ある」演技 ――メインキャストの皆さんについて、実際に現場でお芝居をご覧になって思ったことや感想をお聞かせください。 皆さん、真剣に考えてお芝居していただいています。脚本のト書きの一つも漏らさずやるような迫力があるというか、話しかけづらいような本気になる瞬間というのも結構あって。 広瀬さんは現場でも曲を聞いて気持ちを作ってすごいなと思いますし、眞栄田さんは脚本をめちゃくちゃ読み込んでいらっしゃって、目線一つでも、こういう意味で、こういう理解で芝居してくれたんだというような形で。坂東さんは明るいキャラクターなので、結構地に近いのかなというところもありながら、締めるところは締めるようなお芝居をしてくださっています。長濱さんは、自分の演技はこれでいいのだろうかと常に考えていらっしゃって、自分が言うのもなんですが、どんどんお芝居がうまくなっているような気がして、最初のころと顔がまったく違うなと思いました。綱さんは、第3話の泣きの芝居がすご過ぎて、こんなお芝居できる方なんだって驚きましたし、普段と芝居のギャップがある方だなと感じました。 ――ドラマの公式Instagramなどでは、5人のキャストの方々の仲良さそうなオフショットが見られます。演技以外のときも皆さんたくさんお話されたりしているのでしょうか? そうですね、お話もされています。それぞれフューチャーされる回があるので、そのときは、どうしようというのと、真剣にやらなきゃというようなものが入り混じった表情をされているのですが、広瀬さんが「大丈夫だよ」と声を掛けられたり。仲いいだけじゃなくて、支え合っているなと感じます。 ――広瀬さんがリードするような感じですか? みんな同じくらいの感じで。最初にあだ名ができたんですよ。広瀬さんはそのままアリスですけれど、眞栄田さんはドゥン、坂東さんはドゥ、長濱さんはネルソン、綱さんはツナマヨからマヨ。そのあだ名ができたときからグッと距離が縮まったかなと思いますし、対等な目線みたいな感じでいらっしゃるのではないかと思います。 ■今期ドラマで多くみられる「記憶障がい」設定について ――第4話ラストで遥斗が目覚め、記憶障がいであることが分かりました。今期のドラマでは、本作のあとの「アンメット ある脳外科医の日記」もそうですが、“記憶障がい”の設定が偶然にも重なっていることについてご意見はありますか。 「アンメット」以外はまったく知らなくて、40何本あれば設定がかぶることもあるよねというようにしか思わないのですが…。ただ、「366日」は脚本の清水友佳子さんのご家族に高次脳機能障がいの方がいらっしゃいまして、実際に向き合ったりされている経験があります。なので番組としては単に“設定”として扱っているだけじゃなくて、本気で丁寧に使わせてもらっています。 遥斗の事故は、ファンタジーではなくて実際に起こりうる話。そうなっても変わらず愛し続けることができますかということを表現していきたいと思っています。 ――記憶障がいは、早い段階で物語に取り込むと決めていらっしゃったのですか? 企画書段階から書いていました。脳にダメージを受けた方のノンフィクションの番組を見ていたある時、妻から私がもしこうなったらどうする?と言われて、ハッとしたところから着想しました。私自身は、そうなったから別れるという選択をするつもりはないと思いましたが、もし結婚していなくて付き合っているときだったら、どうなるのかなと。第2話で莉子の「今だったら戻れるよ」というせりふがあって、なかなかキツい言葉だけれど、本当にそうだよなとも感じました。ご覧になった方に、もし大切な恋人がこうなったら、どうするかということを考えるきっかけになったら嬉しいなと思っています。 ■後半のストーリーは「恋愛一直線」 ――脚本は、「最愛」(2021年、TBS系)などを手掛けられた清水友佳子さんで、ドラマファンから注目されていますが、起用理由や脚本の印象は? 「最愛」のほか、「リバーサルオーケストラ」(2023年日本テレビ系)や、連続テレビ小説「エール」(2020年NHK総合ほか)などの清水さんが、名曲「366日」をモチーフにオリジナルラブストーリーをやりますとなったら、僕が視聴者だったら見たいなというところから始まりました。連絡先を知らず、人づてにお伺いしてお会いすることができ、一緒にやりませんかとお話したら、やりたいとおっしゃってくださいました。 清水さんご自身のXに投稿されていますが、キャラクター設定など最初から今の形とほぼ同じようなものが出来上がっていて、出力が恐ろしいというか、すごい方だなと思いました。 ――ドラマの公式サイトでは、清水さんと共に演出の平川雄一朗さんにも期待されているコメントがありました。 第1話で凄まじかったなと思ったところがありました。同窓会で遥斗の目線を入れるシーンで、細かなところを平川さんが演出してくださって、脚本をさらに魅力的にしてくれたなと思います。 平川監督は、現実にこのキャラクターが生きているかのようにキャストにきちんとお芝居つけて撮影するのと、絵の構図がきれいだと思いました。カメラマンと照明の腕もすごいのですけれど、1シーン1シーンが絵画をみているようなきれいさ。平川監督自身もおっしゃっていたのですが、TBS系の日曜劇場の作品など、ハリウッドっぽいエンタメど真ん中みたいな作風が多くて、本作のような、文学的というか、ヨーロッパ映画っぽい作風は初めてで、新しい演出ができたと嬉しそうでした。 清水さんと平川さんという天才と天才が手掛けてくださっているので、面白いなって思っています。 ――最後に、後半の見どころを教えてください。 第5話で遥斗君が目覚め、まっさらな状態からあらためて明日香が恋をやり直すことになります。前半はわりと人間ドラマ的な要素が強かったかなと思いますが、後半は恋愛一直線に。展開が目まぐるしい2人の恋が繰り広げられていきます。2人の恋が二転三転していくのが一番面白いところだと思います。 ――キュンが期待できるということでしょうか? キュンもするけど、切ないというか。重いというわけでもなくて、切ない。明日香と遥斗、すれ違いのような。もちろん、智也、莉子、和樹らにもまだまだいろんな転機が訪れるので、ご注目いただきたいです。 取材・文=神野栄子