是枝裕和監督「日本の映画の働く環境を少しでも良くしていきたい」 東京国際映画祭で改善呼びかける
是枝裕和監督(61)が27日、東京国際映画祭公式プログラムTIFFスペシャルトークセッション ケリング『ウーマン・イン・モーション』に登場しました。 【画像】是枝裕和監督「映画界が働く環境として改善されていければ」映画業界を守るために新たな動き 2015年にカンヌ国際映画祭でスタートした『ウーマン・イン・モーション』は、映画界で活躍する女性にフォーカスを当て、女性を取り巻く環境や、それぞれの立場についての意見交換を行うイベントです。 イベント冒頭で、是枝監督は「映画の現場で活躍する女性たちが、何が課題なのかということをあぶり出していくようなイベントが、映画祭の一環として開催されるということは(東京国際映画祭にとって)とても僕は進歩だなと思っております」と語りました。
■労働環境の保全やハラスメント防止に取り組む是枝監督
是枝監督は、2022年3月に『映画監督有志の会』として、立場を利用した暴力に反対する声明を発表。その後、労働環境の保全やハラスメント防止に関する提言などを行ってきました。その後、コロナ禍による映画館の閉鎖や相次ぐハラスメントの告発など、多くの問題が存在する日本映画界の労働環境改善を求める『action4cinema 日本版CNC設立を求める会』を、映画監督有志らと立ち上げました。 イベントで、労働環境改善について是枝監督は「正式には去年6月ぐらいから『action4cinema』(アクションフォーシネマ)という活動を、諏訪敦彦さんたちと一緒にしていまして、日本の映画の働く環境を少しでも良くしていきたいなという活動をしております。もちろんその中には、どうやったら女性が結婚とか出産を経ても働きたいと思った時に、戻ってこられる、仕事を続けられる環境を整備していけるか、というようなことも提言をしたり、働きかけたりしていこうと思っております。その一環で『制作現場のハラスメント防止ハンドブック』というのをみんなで作りました」と語りました。
イベント終了後には、マスコミや映画関係者などに『制作現場のハラスメント防止ハンドブック』が配布されました。中には、“どういうことがパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、ジェンダーハラスメントになるのか”といった具体的な例や、デリケートな現場などの撮影場所だけでなく、撮影場所以外でのハラスメント防止策などが記されています。最後には労働についてや、人権相談、メンタルヘルス相談、性暴力についての相談窓口が明記されていました。 是枝監督は来場者に向けて「おそらくこの中にも、今後、映画界で働きたいスタッフとか、役者として現場に立ちたいと思っている方たちもいらっしゃると思いますので。ぜひ一緒に一歩ずつ、日本の映画をめぐる環境を良くしていく仲間になってください」と呼びかけました。 イベントには、韓国の俳優、ペ・ドゥナさん、水川あさみさん、プロデューサーの鷲尾賀代さんも登壇しました。