【特集】『Rocksmith+』で眠れる楽器を今こそ鳴らそう!アンプラグドにも対応した独学レッスン最強ツール
海外に遅れること約2年、6月6日より演奏学習ツール『Rocksmith+』が日本でもサービスを開始しました。実物の楽器を使用する、音楽ゲームを応用したわかりやすい譜面で好評を博した作品が10年ぶりに日本に再上陸ということで、新要素の目玉であるピアノパートを中心に試奏しました。 【画像全12枚】 『Rocksmith』シリーズといえば、ゲームスタジオならではの表現である「3次元譜面」です。今はどこの楽器メーカーも携帯端末と連携した学習ツールを用意していますが、ビジュアル表現を贅沢に使った『Rocksmith』の譜面は、分かりやすさの点で圧倒的に優れています。明快な色分けはもちろん、流れる譜面でありながら複雑なギターの運指を立体的に表せているのは、実楽器の練習に使えるソフトでは本作ぐらいではないでしょうか。 『Rocksmith+』ではこれに加えて一般的なTAB譜も表示できるようになり、『Rocksmith』で技術を磨きつつ実用に向けてTAB譜を読む練習も可能です。普通なら音を出す前にTAB譜を理解しなければならないので、出す音のイメージが先にできるのは学習において強力な効果をもたらします。 また、ギターはリズムパートとは別にコードのみで弾く「コードチャート」という新しい譜面が登場しました。コード弾きが苦手な人にはぴったりですし、アコギの弾き語りの練習にも最適です。 旧作ではギター(ベース)を直接USBに繋ぐ「リアルトーンケーブル」が必須で、今作でもベストの手段には変わりないのですが、携帯端末の専用アプリ『Rocksmith Tuner』(旧Connect)を介すことで、アンプラグドの楽器も音認識で使えるようになりました。アコースティックギターをすでに持っているなら、新たにエレキギターを買わなくても良いのです。ケーブルの方も配信に合わせて国内向けパッケージを販売をしていますが、供給が追いついていないようなのでそれを待たずとも始められます。 『Rocksmith+』ではサブスクリプション式を採用しており、月額の基本料金は1,980円。3ヶ月、1年のプランでは大きく割引が加わります。海外だと約20ドルなので、今の円安を鑑みればお得と言えばお得なのですが、使用できるライセンス曲の量が大幅に違うことから不満の声も上がっています。利用料や市場規模など諸々の事情があるでしょうから、とりあえずは今ある約400曲からお気に入りを見つけて、1曲をしっかりマスターするところから始めましょう。 ですが支払いをするその前に、無料で体験できる範囲を使ってプレイ環境を整えるのが最優先です。使用する機材やPCのスペックによってラグの発生などに大きく影響を受けるので、場合によっては機器の認識から失敗する場合もあります。プレイ中にはエラーも散見され、動作は不安定と言わざるを得ないので、早急な改善を要望すると同時に「余計なBluetooth機器の接続は切る」「PCの場合は起動前に必ず入出力の音質を48,000kHzに設定する」など、ある程度は自力の試行錯誤も必要になるでしょう。 今作からはギター、ベースに加えてピアノ(シンセサイザー)が加わりました。日本でのローンチに合わせて収録した邦楽曲はピアノパートが活躍するものが多く、「愛の夢」「ジムノペディ」などソロのクラシックもあり、曲数ではギターに敵わないものの十分力が入っていることが窺えます。 使用できるキーボードは有線でUSBにMIDI接続ができるもので、コンソール機に接続する場合はドライバなしでも動作することが条件です。複数のプラットフォームに展開しているので、手持ちの楽器と機材がどの機種で使えるかを確認しましょう。もちろん「Tuner 」を利用すれば接続が無い機種、また普通のピアノも音認識を介して使えます。 フルサイズ88鍵盤とサスティンペダルがあれば全ての譜面を弾けますが、スタンドを含めて一式揃えるとなるとそれなりの金額になるので、全くの初心者であれば37鍵、49鍵盤のお手頃な価格帯で用意するのも手です。譜面には狭い幅に対応した「シンプル」というアレンジがあり、中級ぐらいまでの十分な弾き応えのあるものが揃っています。それらをマスターしてからより広いサイズを検討しても遅くはありません。 演奏画面はこのような『キーボードマニア』に似た、他のピアノ学習ソフトと同様のレーン形式です。ですが、『Rocksmith+』の奥行きがある立体的な表示は視認性が特に優れています。また、他では色分けが白鍵と黒鍵だけのものが多いですが、本作では音ごとに対応した色があり、どこに指を置けば良いかが素早く判別できます。慣れてくると色を見れば鳴る音、押さえるコードがすぐにイメージできるようになります。音楽ゲーム経験者であれば、オプションの「ノート密度」を一定ブーストにすると間隔が開いてリズムを読みやすいです。 もちろん五線譜モードもあります。クラシックではこちらの表記が好みの人もいるでしょう。 初めての曲にも挑戦!おすすめ課題曲 Oasis「Don’t look back in anger」 『2014』にも収録されていた、基本となるC調のコード進行をマスターするバンド入門の定番曲。あれこれ手を出す前に、まずはこの曲を仕上げることを当面の目標にしましょう。そして気づくのです、バンドのキーボードは圧倒的に和音を弾いている時間が長いということに……。 Doobie brothers「Listen to the music」 3オクターブほどの狭い音域ながら、複雑なリズムとDoobie Brothers特有の分厚く重ねたハーモニーで攻めてくる物量譜面です。 Sir Edward William Elgar「Pomp and Circumstance」(エルガー「威風堂々」 ) 右手左手で1音ずつのわかりやすい譜面ですが、両手を違うリズムで動かすのは簡単ではありません。 TONES AND I - CHARLIE (LYRIC VIDEO) (youtube.com) Tones and I「Charlie」 音ゲーの感覚で遊びたいならこの曲がうってつけ。20件の幅で上級カテゴリに入っています。終盤の細かいフレーズについていけますか? Dr.Capital「The Bronze Owl」 邦楽解説で人気のYoutubeチャンネルを持ち、本作のレッスン動画にも参加しているDr.Capitalのオリジナル曲。バークレーではJ-POPを研究していたとのことで、洋ロックのエッセンスを加えた楽しい邦楽サウンドになっています。 動作の安定性や曲数などいろいろと不具合や不満があることは否めませんが、それでも自分の指でかっこいいコードが鳴る、アンサンブルにすぐ参加できる、その喜びに勝るものはありません。せっかくのピアノが物置棚になってしまっているなら、『Rocksmith+』でもう一度楽器として使ってあげて下さい。 『Rocksmith+』は2024年6月7日より、PS5/PS4/PC(Windows)/iOS/Android向けにサービスを提供中です。 『Rocksmith+』公式サイト
Game*Spark Skollfang
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