衆院選の準備に追われる大分市選管の職員ら（11日、大分市役所で）＝山口覚智撮影

　政権発足から26日後の投開票という戦後最短の日程で行われる今回の衆院選（15日公示、27日投開票）。準備期間の短さから、十分な啓発活動ができないなど、各地の選挙管理委員会にしわ寄せが及んでいる。運動会などのイベントと投開票日が重なり、中止や日程の変更も相次ぐ。 【地図】区割りが変更された都道府県

選管がポスター自作

　「わけあって、職員手製のポスターです！」。青森県選管の選挙啓発ポスターには、小さな文字でこう書かれている。

　若者の関心を集めようと、国政選のポスターはこれまでご当地アイドルらを起用し、業者に作成を委託していた。だが、今回は撮影や印刷が間に合わないと判断。選管職員2人が、明るい選挙のイメージキャラクター「めいすいくん」を活用し、資料作成ソフトで自作した。印刷も県庁のプリンターで行った。

　「今までにない対応だが、できることをやりたい」。県選管の高橋昌広総括主幹はそう語り、「農作業などで忙しい時期だと思うが、ぜひ投票に行ってほしい」と呼びかけた。

　若い世代に投票を促すため、福岡県嘉麻市では国政選挙の度に市内の高校に期日前投票所を開設してきたが、今回は高校での実施を見送る。市選管の担当者は「態勢が整っておらず、今回は通常の投開票業務に注力している」と話す。

必要な職員確保できず

　選挙が「スポーツの秋」と重なったことによる混乱も生じている。

　熊本県西原村では毎年恒例の村民対象の運動会が、投開票日の27日と重なったため、中止を決めた。徒競走や大玉転がしなどがあり、昨年は約300人が参加。今年は午前中に開催予定だった。

　担当する村教育委員会は「村民に投票を呼びかける日に投票時間を奪うのは整合性がとれず、本意ではない。選挙事務にも村職員が必要で、人手の問題もあった」としている。

　佐賀県江北町も27日に町民スポーツ大会を予定していたが、必要な職員数を確保できないため、中止することにした。大会の運営、投開票所の業務ともそれぞれ職員が70人程度必要になる。しかし、町役場の職員は90人しかおらず、投開票日に大会を行うのは難しいと判断した。