「雪子 a.k.a.」の一場面©「雪子 a.k.a.」製作委員会

　長崎市出身の映画監督、草場尚也（３３）の劇場用映画初監督作「雪子　ａ．ｋ．ａ．」が完成した。３０歳を目前に、人生に迷う小学校教師の女性がラップを通して自分と向き合い、答えを探す姿を描いたヒューマンドラマ。来年１月から全国で順次公開される。 　草場監督が描きたい「抑圧された感情からの解放、等身大で生き生きとした人間像」がヒップホップに詰まっていると感じ、女性ラッパーを主軸に企画。小学校教諭と中学社会科の教員免許を持つ監督が、教職に就く人たちの声も拾い集め、教師という仕事の明暗も浮かび上がらせた。 　東京の小学校教諭、雪子（山下リオ）はもうすぐ３０歳。不登校の児童とうまくコミュニケーションが取れず、付き合っている彼氏のプロポーズにも答えが出せず、漠然とした不安を感じる毎日。ラップをしている時だけは本音が出せると思っていたが、そんな自分をラップバトルで否定されてしまう。それでも周囲の支えもあって前を向き、自分の思いをリリック（歌詞）にし、心を開放していく。 　その雪子のリリックは、日本のヒップホップ界をけん引してきたダースレイダーが書き下ろした。 　出演陣では雪子の同僚教師に樋口日奈、占部房子、恋人や友人に渡辺大知、剛力彩芽。雪子の父を石橋凌と実力派の俳優たちが脇を固めている。 　撮影は東京を中心に行い、長崎でもロケを実施。県立長崎北高時代の同級生らがエキストラを務め、長崎バスなども撮影に協力した。草場監督は「映画作りをするたびに、たくさんの支えがあることに気付かされた」と言う。 　「雪子－」は、９月にアルゼンチンで開催された「第２回ブエノスアイレス州国際映画祭」で優れた作品に贈られるシグニス賞を受賞したばかり。草場監督は「雪子が生きる世界に没入し、その在り方や感情を追体験できる映画になっていれば本望」とコメントした。 　「雪子－」は来年１月、東京渋谷のユーロスペースを皮切りに全国順次公開。県内でも上映する計画だが時期は未定。