ハースF1、2戦連続入賞のキーワードは”メッセージの簡素化”。小松礼雄代表「一丸となってやるために、それが利益になると分かった」
ハースF1の小松礼雄代表は、今季チームが一丸となって戦い、ここまで3戦中2戦で入賞を果たしたマシンを仕上げることができた理由について、「メッセージを簡素化できたから」だと考えていると語った。 【動画】F1ドライバーのエステバン・オコン、お台場カートコースをA110で爆走! ハースF1はサウジアラビアGPでニコ・ヒュルケンベルグが10位入賞、オーストラリアGPでは2台揃って入賞を果たし、ここまで4ポイントを獲得している。 小松代表はこれまで、レースペースの改善に主眼を置いていると公言してきた。その一方で、サウジアラビアGPやオーストラリアGPでの走りを見ると、コーナリングからの立ち上がりの加速に優れているため、後続を抑え込む走るができる……つまり、レースで強いマシンになっているように見える。 これについて尋ねると、小松代表は狙ってそういう特性のマシンに仕上げているわけではないとしつつも、そういうところは今季マシンVF-24が元々持っている強みであると説明した。 「立ち上がりの加速は悪くないです」 そう小松代表は語る。 「でもそういうクルマに仕上げているということはあまりないです。それはおそらく、このクルマが本来持っている強みなんだと思います」 「フロントが厳しいとか、リヤが厳しいとか、それをレースで労わることができるセッティングにして走っているということがあります。でも、トラクションなんて稼げれば稼げるほどいいわけです。レースのために、トラクションを良くしようなんてしていないですね。それができるなら、予選でも活きていますから」 プレシーズンテストなどで、やるべきことを単純化したこと、それが今の成績につながっているのではないかと、小松代表は説明する。 「今年のクルマと、ドライビングの仕方だと思います。それを冬の間に嫌というほどトレーニングしてきましたから」 「やってみて思ったのは、単純すぎるほど単純にしてよかったなということです。目標をこれでもかっていうほど単純にして、それを落とし込むということをやり切る。それがよかったのかなと思います」 「そこまでやらなくてもいいんじゃないかって思うほど単純化することが、利益に繋がるというのが分かったかなと思います」 「人にモノを伝えるため、一丸となってやるためには、とことんメッセージを簡素化しなきゃいけません。自分の中で簡素化したつもりでも、し切れていないんですよね。自分の中でこれでもかってくらい簡素化して、やっと伝わるのかと思います」 誰かに何かを伝えるための手法……小松代表が言う「簡素化する」ということは、F1チームに限らず、どんな業界・組織でも当てはまることではないだろうか。 「ジーン(ハース/チームオーナー)にも言ったんですが、F1って特殊に見えますが、才能や性能を発揮するための組織って、F1だろうがなんだろうが、関係ないと思うんですよ」 「僕は、世間で言われる雇われ社長みたいなものですよ。ジーンがオーナーで、僕が雇われ社長で、企業がたまたまF1チームだっただけです。すごくつまらない言い方かもしれないけど……」 小松代表は「つまらないかも」と言うが、まさにその説明こそ、簡素化されてわかりやすい言い方のように思える。
田中健一