「すしのこ」をポテチにかけると、めっちゃ美味しい? ロングセラーを再ブレイクさせた次期社長の戦術 ~タマノイ酢後編
◆すしのこの『再ブレイク』
――若い世代に浸透させるための具体策はありますか? 「すしのこ」は温かいご飯にふりかけるだけで美味しいお寿司ができる商品です。しかし、家でお寿司をつくる機会が減ると、当然、消費量も減っていきます。 そこで、お寿司以外のレシピ開発をこの5年くらい進めました。消費者からアイデアを募るなどの仕掛けをする中で、1つ光が見えたものがあります。 消費者がSNSにアップした「『すしのこ』をポテチにかけるとめっちゃおいしい」という投稿がバズっていたのです。これはチャンスだと思い、私はスーパーと交渉し、ポテトチップスの横に「すしのこ」を置いてもらいました。 すると、「すしのこ」の1週間の売り上げが2~4倍にも跳ね上がったのです。年間でも前年比2桁増の売り上げでした。基礎調味料で2桁の伸びというのはめったにありません。 テレビなどのメディアに取り上げてもらう機会も増えて、何より若い世代に「すしのこ」を知ってもらうことができました。新商品も開発していきたいですが、既存商品の使い方や見せ方を変えていくことで、まだまだ伸びるチャンスがあることを証明できたと思います。
■プロフィール
タマノイ酢株式会社 安土桃山時代の1590年頃、堺で製造された酢に用いられた商標「玉廼井(タマノイ)」にルーツを持つ。1907(明治40)年、5つの蔵が集まり、前身となる大阪造酢合名会社を設立し、1963年に「タマノ井酢」、1994年に「タマノイ酢」に社名変更した。1963年には、世界で初めて酢の粉末化に成功し、ロングセラー商品「すしのこ」を発売した。