カメムシ県内でも大量発生 平年の6・5倍、果樹農家に対策呼び掛け【宇部】
小さな硬い体から強烈な悪臭を放つカメムシが、昨年に続き全国各地で大量発生している。県病害虫防除所は、6月の農作物病害虫発生予報で、5月に続きカメムシ類の発生量は多いとし、果樹全般について、ネットを使った侵入防御対策や果実への袋がけなどの防除措置を農家に呼び掛けている。 特に大量発生しているのはチャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシなどの果樹カメムシ類。スギやヒノキの実に5~8月に産卵して繁殖し、餌不足になると果樹に飛来する。ビワやナシ、モモなどの果汁を好んで吸うため、実の表面が傷み商品価値を失う。 宇部市内では、該当するビワやウメの生産量が少なく、被害報告は届いていない。JA山口県宇部統括本部指導販売課の田村秀人係長は「カメムシが増えていることは間違いない。これから旬を迎えるキュウリなどの夏野菜や、昨年被害のあった稲に影響する可能性がある」という。 同予報では、大量発生の根拠として三つの調査結果を報告。県内3カ所の予察灯における4月26日~5月25日の誘殺数は355匹で平年(54・3匹)の約6・5倍。県内4カ所のフェロモントラップにおける5月1~25日のチャバネアオカメムシの誘殺数は823匹、クサギカメムシのトラップによる越冬量調査(県内10カ所)では1トラップ当たり96・4匹で、ともに平年の約4倍となった。大量発生した昨年より「さらに多い発生状況」とし、今後の発生予察情報への注意を促した。 県発生予察グループの担当者は、現在は注意報の段階で、警報に至ってないと前置きし、「被害報告は届いていないが、かんきつ類やナシの農園で例年より早くカメムシの飛来があり、量も例年とは違う状況」と警戒を求めている。