ボルボ 次世代EV「EX60」にメガキャスティング導入か 生産効率アップ、CO2削減&軽量化も実現
効率的な生産技術
スウェーデンの自動車メーカーであるボルボは、2026年に発売予定の次世代EVの生産にメガキャスティング技術を導入する。これにより生産効率が大幅に向上し、また設計の自由度も高まるという。 【写真】上品なミドルサイズSUV、ボルボの世界的ベストセラー【ボルボXC60を写真で見る】 (26枚) 現在開発中の新型EV「EX60(仮称)」が2025年頃にデビューの見通しであることから、翌年よりメガキャスティング技術を用いて生産されるものと予想されている。EX60は、現行のXC60に相当するミドルサイズの電動SUVだ。 メガキャスティングとは、溶かした金属を金型に流し込むダイカストという鋳造方式の1つで、従来よりもはるかに大きな金型を用いる技術だ。複数の部品を別々に生産して溶接したりボルトで接続したりするのではなく、大型の単一部品として一体で生産することができる。すでにテスラで採用されており、トヨタも2026年以降に導入する予定だ。 ボルボはまず、リアのフロア部分にアルミニウムのメガキャスティングを導入する。従来の生産工程であれば部品数は約100点に相当するが、一体成型によりリアフロアの溶接箇所は84%減少し、重量も約50%軽くなるという。4月23日に公開された動画では、その試作品と巨大な鋳造機が紹介されている。 ボルボの車両プラットフォーム開発担当者であるミカエル・フェルメール氏は、同社の生産に革命をもたらす技術だと述べている。メガキャスト部品は構造に変更を加えることが容易なため(金型は4か月に1度程度のメンテナンスが必要)、改良や新型車の展開にも有利だという。 ボルボは将来的にメガキャスティングを本格導入し、プラットフォームの生産に必要な部品数の大幅削減を目指している。 フェルメール氏はメガキャスティングについて、「安全で頑丈なリアフロアを設計するのは非常に簡単です。部品点数が100点から1点になると、複雑なインターフェイスもシンプルにすることができます」として、「良い起点」になるだろうと述べた。 一方、メガキャスティングでは事故発生時の安全性や部品破損後の修理費用について心配する声も多く聞かれる。しかし、そうした点についても懸念はないという。 「ボルボはメガキャスト部品の配置をホイールハウスまでとし、交換可能なバンパービームとリアクラッシュ構造を備えています」 「メガキャスト部品はある程度修理が可能ですが、損傷が激しい場合は廃車になります。しかし、それは従来のクルマでも同じで、おそらく現行車が廃車になるのと同じくらいの確率でしょう」