「バッキャロー死にてえのか!」少女漫画のド定番?「車の前に飛び出して怒鳴られるシーン」は本当に存在したのか
昔のドラマには、主人公などが車に飛び込み、その直前で車が止まってなんとか助かるようなシーンがよくあった。例えば1991年にフジテレビ系列で放送された『101回目のプロポーズ』が有名だ。主人公の中年男・達郎が、お見合い相手である薫に「もう好きな人を失うのは怖い」と言われ、ダンプカーの前に飛び出したシーンである。「バカヤロー! コラ、死にてえのか!」と運転手に怒鳴られながらも、このときに言った「僕は死にません!」というセリフは流行語大賞を受賞している。 ■【画像】「30年前とは思えない」「美しすぎる」バブル感満載『白鳥麗子でございます!』二代目ヒロインの松雪泰子さん■ このドラマの影響もあってか、昔の少女漫画にも似たようなシーンがよく登場する。今回はそんな、車の前に飛び出して間一髪だったシーンを振り返ってみたい。
■好きな人の手紙を取り返すために道路に…『悪女』
深見じゅんさんの『悪女(わる)』は、バブル時代のOLが仕事に恋に奮闘する姿を描いた作品だ。主人公の新入社員である田中麻理鈴が社会人として成長する姿を描いている。 麻理鈴の前には次々と無理難題を押し付けるような嫌な上司なども登場する。それでも麻理鈴が頑張れるのは、入社当初から親しみを込めて“T・Oさん”と呼ぶ、田村収への強い想いがあったからだ。 ある日仲間の協力により、T・Oさんからの手紙をもらうことができた麻理鈴。しかし、かつて麻理鈴の仲間であった海外事業部の板倉夕子は、麻理鈴の行動力を利用するため、その手紙を道路沿いで取り上げてしまう。そして「私のいうこときかないならこの手紙を道路に捨てる”」と言って麻理鈴を脅す。 しかし押し問答のすえに手紙は道路に落ちてしまい、麻理鈴は手紙を取るためにとっさに道路に飛び出す。キキーッという激しい音とともに車が止まり、すんでのところで麻理鈴は大怪我をせずに済んだ。 「ばかやろう! なにやってんだ」という運転手の罵声を受けつつ、板倉のもとに戻る麻理鈴。死亡事故にもつながりかねない行為をした板倉に対し、普通は激怒するところだが「私すこし怒っていますからね」で済ませてしまうのが麻理鈴らしい。 自分の命も顧みず、T・Oさんからもらった手紙のためなら道路にまで飛び出してしまうのには驚きだ。しかし昔の少女漫画には、好きな人のためならたとえ火の中水の中……といったシーンも多かったのだ。