待望のメジャー初優勝!! ザンダー・シャウフェレのスウィングをAIで分析
胸の縦回転が生み出す高いトップ
続いてトップ(P4)を見てみましょう。2つ目の特徴は、「胸の縦回転と高いトップ」です。「CHEST SIDE BEND」は、胸の左右の側屈角度を表します。シャウフェレのトップは-43度左への側屈が入っており、男子ツアープロレンジ(-36.8度~-43.4度)と比較すると、胸が左に側屈する角度が大きいタイプとわかります。 シャウフェレのトップは、頭の高さや両肩を結んだラインよりも両手の位置が高く、トップの手の位置が高いことがわかります。この高いトップは、先述の左側屈角度が大きいことが関連していますので、両手を高く上げようとしてもダメで、前傾角度を保ってテークバックした結果、高いトップになると解釈して下さい。前傾をキープして側屈しながら回転するドリルは、胸のラインにクラブを当てて胸を回転させるシャドースウィングがお勧めです。トップでは左肩、インパクトでは右肩がそれぞれボールの方向を指すように胸を回転するイメージを持つと良いでしょう。
下半身から切り返して、手は後からついてくる
そして切り返しを見てみましょう。アドレスの位置から骨盤が左右にどれだけ移動したかを表す「PELVIS SWAY」と、同じくアドレスの位置から両手が左右にどれだけ移動したかを表す「MID HANDS SWAY」のデータを比較しましょう。トップから切り返しにかけて両手はトップ-29.2cm右→切り返し-30.7cm右と、ほとんど両手は動いていませんが、骨盤はトップ1.0cm左、切り返し4.0cm左と、骨盤は左に動き始めているのがわかります。 この下半身が先行して左に移動する動きを「バンプ」又は「スライド」と呼ばれ、この動きは昔からあるスウィング理論の1つですが、近年この動きは「良くない」と言われるケースもあります。それは前傾角度が早く起き上がっているケースです。シャウフェレのように胸の左側屈角度が大きいトップを作れれば、上半身の前傾角度を保ちながら下半身から切り返すことで、クラブが過度にインサイドから寝て下りることなく適正なシャフトプレーンに沿って下ろすことができます。前傾角度を保ったトップから骨盤を先行して切り返すシャウフェレの動きは、体重が右足に残るエラーや、手から先に切り返して打ち急いでしまうエラーにお悩みの方には参考にして頂きたいです。 今回は、ザンダー・シャウフェレのドライバースウィングを分析させて頂きました。松山 英樹選手と一緒に最終日最終組を回った2021年マスターズをはじめ、これまであと1歩手が届いていなかったメジャータイトルを遂に手にしたザンダー・シャウフェレの今後のプレーに注目しましょう!
北野達郎