米国の知日派「ジャパンハンド」、戦後78年を経て変遷 もはや「ライシャワーのような大物は不要」【ワシントン報告④ジャパンハンド】
ライシャワーは安保改定に揺れる日本を分析した論文がケネディ大統領の目にとまり、大使に指名された。安保反対の裏側にある反戦意識や声なき国民の保守性を説いた内容は今読んでも古くない。 その論文は国会周辺で続いた全学連の大規模なデモを冒頭で取り上げ「米国人の目からは日本が共産陣営か自由陣営かで揺れているように見えているだろうが、日本人はそう考えていない。平和と戦争、あるいは民主主義とファシズムといったもっと曖昧な目標の歴史的岐路にあると感じている」と書いた。単純なイデオロギー論ではなく、太平洋戦争が日本人に残した傷痕に目を向けた。 ▽「操られているようで嫌」 ジャパンハンドという言葉に日本の外交官は「操られているようで嫌ですね」と顔をしかめる。シンクタンクでいえば数十人規模だろうか。「こぢんまりしたクラブのよう」(米国笹川平和財団のジェームズ・ショフ氏)という。 最近の日本専門家で目につくのは、JETプログラムと呼ばれる日本に英語教員らを派遣する事業を経験した人たちだ。ジョンストン氏もショフ氏もその例に漏れない。ジョンストン氏はNSCで働いていたとき、アジア関係の部署にいた6人の半数がJETの経験者だったと笑顔で振り返った。
シンクタンクでは最近、日本の専門家が中国や朝鮮半島もカバーする傾向がみられる。日本だけでは視野が狭い。中国の存在が大きい。 トランプ前政権の米中貿易戦争は日米貿易摩擦を思い出させるが、シンクタンクのハドソン研究所の上級研究員で、レーガン政権で日米関係に関与したジェームズ・プリスタップ氏は「解決の意思があった日米と、そうではない米中とは全く違う」と首を振った。民主主義など価値観の共有も強調した。 米中が日本の頭越しに手を結ぶことは将来ないのか。カルダー氏は「中国は米国の競争国であり続ける。手を結ぶことはありそうもない」と語った。