ドラッグストア、中国地方で1000店突破 10年弱で6割増加 スーパーやコンビニとの競争も激化
中国地方のドラッグストアが千店を超えた。利益率の高い医薬品を強みに食品、日用品を含む幅広い品ぞろえで店舗網を広げている。1月下旬には、ウォンツなどを展開するツルハホールディングス(HD、札幌市)に対し、流通大手イオン(千葉市)が出資を拡大する方針を発表した。スーパーやコンビニなど業態を超えた競争は激しさを増しそうだ。 【画像】中国地方の主なドラッグストアの店舗数 中国経済産業局の統計によると、昨年9月にちょうど千店に達し、11月は1011店になった。最もさかのぼれる2014年1月から10年弱で約6割増えた。昨年9月の販売額は364億8千万円と、14年9月から約8割増。伸び率はスーパーの13・5%、コンビニの18・2%を上回る。 経産局の実国慎一局長は「食料品を含め品ぞろえが充実し、遅くまで営業している店も多い。消費者のニーズに合っている」と背景を分析する。 中国地方に103店(昨年11月末時点)を構えるププレひまわり(福山市)は出店と併せて営業時間を延ばしている。午後10時までを基本に7店が同11時、42店が午前0時まで。「地域の生活を支えるサービスレベルの向上が目的」とし、午後10時以降の売り上げも伸びているという。 ププレひまわりの親会社でイオン子会社のウエルシアホールディングス(HD、東京)は、ひまわりを含めて中国地方で計159店(昨年11月末時点)を展開。ひまわり以外のブランドも着々と出店し、昨年12月には広島市中区にウエルシア広島広瀬北町店を開いた。 マツキヨココカラ&カンパニー(東京)も、傘下の岩崎宏健堂(周南市)やマツモトキヨシ、ココカラファインなど複数のブランドを出店している。「既存店の顧客データや立地特性などを総合的に考慮し、すみ分けている」と説明する。 各社の出店意欲は依然として旺盛だ。コスモス薬品(福岡市)は23年5月期に中国地方で12店増やし、11月末時点で208店。23年11月中間決算では売上高4764億円のうち60・1%を一般食品が占めた。「出店の余地はある」とし、自社競合もいとわないドミナント戦略で規模を広げる。 中国地方最多のツルハHDは357店(昨年11月末時点)。傘下のツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本(TGN、広島市西区)が運営するウォンツなどは、296店(同)と4年余りで約50店増やした。 高齢化が進み、ドラッグストアは医薬品の需要や健康志向の高まりを追い風にしてきた。一方、競争の激化で中国地方でも再編が相次いだ。収益性の確保が課題となる。 広島修道大商学部の川原直毅教授(市場調査論)は「医薬品は利益率が高く、2万~3万人の商圏でも十分に出店できる」とみる一方、「客層に合わせた商品構成やトレンドを反映した特徴ある店づくりがより必要になる」と指摘している。
中国新聞社