藤井聡太八冠が名人初防衛「形勢判断、構想の立て方に課題」…カド番の叡王戦へかぶとの緒を締める
将棋の藤井聡太名人=竜王、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖と合わせて八冠=が27日、北海道紋別市の「ホテルオホーツクパレス」で前日から指し継がれた第82期名人戦七番勝負第5局2日目で、挑戦者・豊島将之九段に先手番の99手で勝利。シリーズを4戦1敗とし、昨年、史上最年少の20歳10か月で獲得した名人位の初防衛を果たした。タイトル獲得は22期となった。 開幕から3連勝してストレートVに王手をかけたものの、18、19日の第4局(大分県別府市)は、カド番の2代前の名人・豊島に完敗。かつて“天敵”とも呼ばれた豊島戦の連勝は12で止められた。 改めて初防衛を目指したオホーツク決戦は、後手・豊島が四間振り飛車を選択。ただ「端歩突き越しからの振り飛車は一応、考えられる作戦の一つかなと事前に思っていました」と想定内だったと明かした。 この日の2日目の昼食休憩後から豊島の美濃囲いを徐々に崩して、優勢に。「本譜は実戦的な指し方に。こちらの攻め駒が少ないので、そんなに自信のある展開ではなかった」というが、自玉の穴熊は危なげないまま、しっかりと勝ち切った。 シリーズを振り返り「いろいろ反省点もあったと思うんですけど、なんとか防衛という結果が出せたのはよかった。一手一手、手探りの将棋が多かったんですが、形勢判断、構想の立て方に課題が残ったのかな」と振り返った。 防衛の喜びに浸っている暇はない。中3日の31日、千葉県柏市で伊藤匠七段との叡王戦五番勝負第4局を控える。シリーズ1勝2敗。タイトル戦で藤井が初めて黒星先行でカド番に追い込まれて、陥落の危機。八冠維持には残り全勝しかなく、かぶとの緒を締めなくてはならない。 棋聖戦五番勝負(VS山崎隆之八段)も6月6日に開幕する。「これからも対局が続くので精一杯指したいです」。暑さにも負けず、初夏も平常心で臨む。
報知新聞社