リオ五輪出場枠「3」獲得の男子レスリングを引っ張った「忍者」の金星!
樋口に続いて五輪代表の切符をほぼ手中にした太田は「軽量級は日本のエース階級、大学の後輩でもある樋口と、日本チームのエースとして頑張りたい」と宣言した。決勝では「ニンジャ(忍者)」と他国コーチからあだ名されたトリッキーにも見えるバランスの良さを生かし切れず王(中国)に7-9の判定負け。しかし、レスリングをよく知るカザフスタンの観客からは、優勝した王よりも記念撮影を願う列が長く続いた。金メダリストを破り勝ち上がったことで「世界のトップに自分のレベルがある自信がついた」と多くの収穫を得た。 そして、この日、3つ目の出場権を獲得したのが、ロンドン五輪出場経験があるベテランの高谷だ。3週間前にケガした膝の影響で十分な練習ができないまま「ぶっつけ本番で」試合に挑み、見事に決勝へ駒を進めた。準決勝で2014年アジア大会王者のクルバノフ(ウズベキスタン)の老獪な動きを制して五輪出場権利を手にすると、珍しく嬉し泣きをした。決勝のウセルバエフ(カザフスタン)戦は膝の状態が芳しくなかったため途中棄権したが、若手に負けず意地を見せた。 経験不足の選手が多くリオ五輪出場枠を得るのは厳しいと予想されていた大会の初日に3つの五輪出場枠が日本チームのものとなった。今日、19日には女子で唯一、五輪出場権利を逃している75kg級に渡利璃穏(24、アイシンAW)が登場、男子は、フリー65kg級に前田翔吾、97kg級に山口剛、グレコ75kg級に屋比久翔平、130kg級に園田新が出場する。渡利には、初めて6階級で実施される女子の全階級出場を確定させ、日本女子の強さを見せつけることが期待されている。 また最終日の20日には、ロンドン五輪に出場したグレコ98kg級・齋川哲克(30、栃木・足利工高)が控えていて、腰の手術を終えて復調した齋川には、以前のように日本人離れした重量級の力強さを発揮してのリオ五輪出場権の獲得が託されている。 (文責・横森綾/スポーツライター)