山の地下、長さ555メートルのトンネル型タンクが10基…日本のエネルギー供給支える石油備蓄基地 学べる観光地としても一役
地下に石油をためる国内初の施設「串木野国家石油備蓄基地」(鹿児島県いちき串木野市)は昨年、完成から30年を迎えた。仕組みなどを一般に紹介する併設の「ちかび展示館」は人気が高く、エネルギー供給の理解を深めるのに一役買っている。 【写真】石油の地下備蓄の仕組みなどを学べる串木野国家石油備蓄基地の「ちかび展示館」=いちき串木野市野元
施設を管理する独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、基地建設は1973年の石油危機がきっかけ。原油が輸入できなくなった場合に備え、国が建設した。近くに港があり、岩盤が固いなどの理由で選ばれ、94年に完成した。 同市の山間部の地下に、岩盤を掘削した高さ22メートル、幅18メートル、長さ555メートルのトンネル型のタンク10基がある。容量は175万キロリットル。油を周囲の地下水圧で封じ込めていることや、地震の影響が地表より大幅に少ないことなどが特徴。当初入れた石油を使う事態はこれまでに起きていない。 展示館は建設時の作業用トンネルを活用し、基地完成に合わせて開館した。館内では模型を使って原油の出し入れの流れを説明。トンネルもガラス越しに見学できる。延べ来館者は約27万人(11月末時点)で、リピーターも多い。毎年11月中旬にはPRイベントも開催している。 同基地事務所の高橋隆治所長は「県外からも多くの方にお越しいただいている。楽しみながら石油備蓄について知ってもらいたい」と呼びかけた。
入館無料。毎週火、水と年末年始は休館。新年は4日から。
南日本新聞 | 鹿児島